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演 劇
『CHICAGO』のウォルター・ボビーが演出を手がけ、トニー賞最優秀作品賞にもノミネートされた話題作『ヴィーナス・イン・ファー』(日本版演出はロス・エヴァンズ)が、東京・Bunkamuraシアターコクーンで上演されている。本作は“マゾヒズム”の語源ともなった、レオポルト・ファン・ザッヘル=マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』がもとになっており、男女ふたりの濃密なパワーゲームが展開される。そこで稲垣吾郎を相手役に、かつてない難役に挑戦している中越典子に、現在までの手ごたえを訊いた。
この取材時にはすでに3公演が終了。観客の評判もよく、中越は「稽古でやってきたことが間違っていなかったと、すごく勇気をいただいています」と目を輝かせる。「お客さんの前に立ってみて、改めて素晴らしい戯曲だなと身を以て感じています。日本での初上演に参加できたことは本当に光栄ですし、きっと観客の立場で観ていたら、すごくやきもちを焼いていただろうなと思います。それくらい私が演じるヴァンダは、魅力的な役柄ですね」
物語は、オーディション会場となったスタジオの1室から幕を開ける。稲垣演じるトーマスは劇作・演出家。自身が手がける舞台の女優を探しているのだが、オーディションは空回りに終わる。そこに現れたのは、中越演じる若手女優のヴァンダ。そこでオーディション兼、ふたりの読み合わせが始まるのだが…という内容。
ふたりは現実と劇中劇の世界を行き来するわけだが、その切り替えが作品の大きなカギを握る。「例えセリフをミスっちゃったとしても、とにかく前へ突っ走っていくっていう強靭さが必要な舞台だと思います。その切り替えにしても、瞬時にだったり、ぬるっとだったり、タイミングが非常に重要で…。そこはこれからの本番で、より鍛え上げていかないとなと思います」
舞台上には中越と稲垣のふたりきり。だからこそ中越は、稲垣のことを「存在として助けてくれています」と語り、絶大なる信頼を寄せる。「稲垣さんはとにかく冷静で、自分のペースを崩さない。私にとっては精神安定剤のような方ですね」
中越が「魅力的」と語るヴァンダだが、それは演じる中越がよりヴァンダを魅力的なものにしているとも言えるだろう。このひと筋縄ではいかない役どころを、しっかり我が物にしている中越に、女優としての底力を見せつけられたような気がした。「ヴァンダには本当にいろんな要素が必要で、私にとってこんなにハードルが高くて、表情豊かで、深みのある女性というのは初めてです。すごく勉強になりますし、これからもっとエッヂを効かせていきたいと思いますので、ぜひドキドキワクワクしに劇場へ足を運んで欲しいですね」
6月23日(日)まで東京・シアターコクーンにて。その後、6月27日(木)から30日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演。
取材・文:野上瑠美子
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