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新国立劇場地域招聘オペラ公演『三文オペラ』の公開ゲネプロが、7月11日に新国立劇場 中劇場で行われた。
新国立劇場が2005年より全国各地の優れた舞台作品を招聘している「地域招聘オペラ公演」。9年目を迎える今回は、昨年10月にびわ湖ホールで初演され、大好評を博した『三文オペラ』を上演する。
ドイツ演劇界の革命児ベルトルト・ブレヒトの戯曲をもとに、クルト・ワイルが音楽を付けた音楽劇『三文オペラ』。原作はジョン・ゲイの「乞食オペラ」。19世紀末のロンドンの貧民街ソーホーを舞台に、悪党の親玉で色男のメッキー・メッサーを中心に、乞食商会を営む乞食王ピーチャムとその娘ポリー、メッキーの旧友である警視総監ブラウンとその娘ルーシー、娼婦たちなど、個性豊かな登場人物たちが織りなす物語には、階級社会、資本主義の矛盾への風刺がふんだんに盛り込まれている。また、劇中歌「メッキー・メッサーのモリタート」は、今ではジャズのスタンダード・ナンバー「マック・ザ・ナイフ」としておなじみだ。
三文オペラの魅力といえば、オペラ、演劇、ミュージカルの要素が渾然一体となった独創性。題名には“オペラ”とあるが、その大半は台詞が占めており、音楽付き芝居というほうが正確かもしれない。演出を手がける巨匠・栗山昌良も「演劇だけ、音楽だけでは表現しきれないものが表現されている。そこが演出家には魅力」と本作品への思い入れを語っている。
音楽・演劇両面で高い水準を要求される本作のキャストを演じるのは、厳しいオーディションから選ばれた才能ある若手歌手で構成される、びわ湖ホール専属の声楽家集団、びわ湖ホール声楽アンサンブル。日々オペラ専用劇場で活躍している彼らだけに、歌唱面の力量はすでに折り紙付き。課題は、ブレヒトが作品に込めた様々なメッセージを表現する演劇力だ。昨年の初演に際しては、「オペラ歌手は俳優でなければならない」と語る巨匠・栗山から半年にも及ぶ厳しい演技指導を受けた成果が実り、大好評を博したばかり。
今回の東京公演の舞台稽古でも、演技や台詞の発音、振付の熟練度は舞台俳優さながら。もちろん、メロディックな劇中歌では、声楽アンサンブルによる本格的な歌唱が発揮され、演劇やミュージカルの俳優が演じる三文オペラとはまた異なる魅力をみせてくれた。
日本東西のオペラシーンを支える新国立劇場とびわ湖ホールのコラボレートで贈る『三文オペラ』は、7月12日(金)・14日(日)に新国立劇場 中劇場(東京・初台)で開催。チケットはS席のみ発売中(A〜C席は完売)。本公演ラストでの“びわ湖ホールのプロダクションらしい”ユニークな演出にも注目して欲しい。
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