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長編映画の製作からの引退を発表した宮崎駿監督が6日、東京・吉祥寺で「引退会見」を行った。会見冒頭、「何度もやめると言って騒がせてきたが、今回は本気です」と宣言した宮崎監督は、これまでのキャリアを振り返り「達成感も後悔もなにも、そういう総括はしてこなかったから…」とコメント。それでも「常に『この世は生きるに値するんだ』という思いが作品の根幹に合った」と自身が作り上げた名作の数々に、思いをはせていた。
会見には宮崎監督をはじめ、鈴木敏夫氏(スタジオジブリ代表取締役プロデューサー)、星野康二氏(スタジオジブリ代表取締役社長)が同席。星野氏が9月1日(現地時間)、第70回ベネチア映画祭コンペティション部門に選出されている最新作『風立ちぬ』の公式会見で、宮崎監督の引退を発表していた。
宮崎監督が、実際に引退を決意したのは『風立ちぬ』が完成した後で「作ってる途中は、死にもの狂いで、この後どうするかなんて考えられない。製作中は完成するのか心配だけで」。ただ、作品づくりに臨む際「年齢的なものもあって、集中できる時間は減ってきた」と決断に至る経緯を明かした。
今後の具体的な活動については「以前からやろうと思っていることがあり、それはアニメじゃありません。実現しなかったらみっともないので、今は言いません」と断言。「文化人にはなりたくない。町工場の親父でいたい」という気持ちがあるといい、今後、製作されるスタジオジブリの長編作品には「関与することはありません」と話していた。
この日は鈴木プロデューサーが、高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』(11月23日(土)公開)に加えて、「来年夏をめどに、もう1本作っている」と新作の存在も公表し、「ジブリの今後は、今ジブリで働いている人たちが、どう考えているかで決まるんじゃないか」と発言。宮崎監督も「やっと“重石”がいなくなるんだから、若い人の声が鈴木さんに届けばいい。要は彼らの能力、意欲、希望にかかっている」と若い世代に期待を寄せていた。
特に印象に残っている作品は「とげのように心に残っているのは、『ハウルの動く城』。ゲームの世界をドラマで描こうとしたから苦労した」と宮崎監督。報道陣から『風の谷のナウシカ』の続編を希望する声があがると、「ありません!」ときっぱりと語っていた。会見の最後には「長い間、お世話になりました。こういう機会は二度とないと思いますが、ありがとうございました」とあいさつし、長年、タッグを組んできた鈴木プロデューサーと固い握手を交わした。
『風立ちぬ』
公開中
取材・文・写真:内田 涼
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