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“女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”と言われる越谷オサムの同名小説を映画化した『陽だまりの彼女』が公開となる。ヒロイン・真緒を演じた上野樹里が3年ぶりの映画出演となった本作の魅力を語ってくれた。
中学以来の再会を果たした浩介(松本潤)と真緒の温かい恋模様、真緒が抱えるある“秘密”がもたらす切なくも美しい愛の奇跡を描き出す。
最初に原作を読んで「親近感がわくお話だなと感じた」という上野。実は、映画では原作とは異なる結末が用意されているが「ふたりの愛が、単に温かく居心地が良いというだけでなく、そこに強さも出たし、最後まで優しく温かい光に包まれていて、私自身あのラストはすごく好きです」と前向きに受け止める。
真緒という何とも不思議な空気をまとった人物を演じる上で、カラーコンタクトにシーンごとの心情を表した髪型や衣裳、さらに「突拍子もなく目の前に現れたり、気づいたらいなくなってたり、翻弄し振り回すような」動きにいたるまで、細部にわたって彼女の特性を反映させていったという。
ふたりの関係性の変化も重要なポイント。松本とは初共演だが、特に話し合う必要もないまま初日から「自然とメンタルがそう(真緒と浩介に)なった」と振り返る。「最初の撮影がふたりが再会して間もない、まだ恋人にもなってないシーンだったんですが、複雑に考えずに淡々とその場にいられましたね。10年前に会っているので、真緒の中ではその時からずっと繋がっているという気持ち。いまさらドキドキしたり、恋愛の駆け引きをするよりも穏やかな心境で居心地のいい空気でした」。
内側では感覚と緻密な計算がせめぎ合いながらも、全てが自然に見える――そんな上野のスタンスは真緒の姿と重なる。「真緒としては浩介が許しさえすれば、すぐにでも甘えたい気持ちだけど、秘密を悟られないように警戒し距離を保ってもいる。徐々に浩介が心を開いていく中で、気づいたら一緒にいるのが当たり前で、自然と彼女のペースに巻き込まれてる。そこが真緒のかわいさであり、“タイムリミット”を持つ彼女がそうせざるをえなかったところでもあり、神様のイタズラですよね。そこは演じがいがありました」。
『ソラニン』『僕等がいた』と恋愛映画をヒットに導いてきた三木孝浩監督から受けた影響も大きい。「ヴィヴィッドでエッジが効いているというより、優しくて柔らかい印象」と語る上野。小説は浩介の視点で書かれているが、映画では「監督がしっかりと真緒の目線も描いてくれました。『痛いのがうれしい』という真緒のセリフがあるんですが、『痛い――だからこそ日常が輝いてる」という真緒が、作品が伝えたい思いを表していて演じる上でもキーポイントになりました」。
『陽だまりの彼女』
10月12日(土)全国東宝系ロードショー
取材・文・写真:黒豆直樹
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