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2011年にニューヨークで上演された『セミナー』が日本に上陸。10週間5,000ドルという高額の授業を行う有名作家と、その生徒4人との丁々発止を描く、新たなタイプのコメディだ。作家・レナードを演じる北村有起哉に話を訊いた。
レナードは生徒たちに皮肉ばかりを投げつける、いわばドSの先生。「うさんくさくて、すごく乱暴な先生なんです。だから生徒たちは不信感を抱くわけですよね。生徒側もどんどん反抗してくるんだけど、先生にとってはそんなのはヒヨコがピーチクパーチク言っているようなもの。だからそれを存分に受け止めて、十倍返しする(笑)」と役について評する北村。「でも実は非常にクレバーな人なんです。生徒たちを汚い言葉で罵るのも挑発するのも、すべて計算していて自分でコントロールをしている。最終的に、4人の生徒たちが数十年後に振り返ってちゃんと思い出せるような先生を演じられたらと思っています」。
ニューヨークでの上演時は、『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ役で知られるアラン・リックマンがレナードを演じた。「50歳を超えている役なんですよね。その年齢だからこそ醸し出される枯れた感じや、若者に対する思いなんかを39歳である僕がどう表現するかにいまは頭を悩ませています。いずれにせよ、僕らにしかできない『セミナー』をやるしかない」。
演出は、これまで北村と度々タッグを組んできた栗山民也。生徒には黒木華、黒川智花、相葉裕樹、玉置玲央と魅力的なメンツが揃う。「栗山さんの演出には、まず大事なポイントをがっしりと押さえて、そこにまっすぐ導いてくれる力強さがある。生徒役の4人は栗山さんとは初めてだから、僕が伝えられることがあれば伝えたい。ちょうどよい距離感を探っていけたら」
今は現代のアメリカ演劇を演じられることに喜びを感じているという北村。「会話の応酬がとにかくスリリング。僕が誰かひとりの生徒をほめれば他のヤツがひがむっていう、セリフだけではないつながりがある。見えないクモの糸が張り巡らされているような面白いつくりなんです」。最近は映像での活躍も多いだけに「改めて舞台に挑む楽しさを実感しています。この作品は特に、どんなふうに初日の幕が開くかまだ見当もつかない。だからこそ面白いんです」。主役にも想像のつかない舞台がいったいどんなものなのか、目撃できる日を楽しみに待ちたい。
公演は12月13日(金)から12月20日(金)まで東京・紀伊國屋ホール、12月28日(土)・29日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて。チケット発売中。
取材・文/釣木文恵
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