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北村一輝が主演を務め、日本とインドネシアの映画人がタッグを組んで製作した『KILLERS/キラーズ』が間もなく日本公開される。日本人が書いた原案を膨らませ、インドネシアの映画人を集めて監督を務めたのはティモ・ジャヤントとキモ・スタンボエルの親友ふたり組”モー・ブラザーズ”だ。彼らはどのような思考を経て、世にも恐ろしい殺人者・野村を生み出したのだろうか? 来日したジャヤント監督に話を聞いた。
本作は、女を捕らえては残忍な方法で殺害し、その一部始終を撮影してネットに公開している男・野村(北村)と、彼が放った映像を観てしまったことから殺しにのめりこんでいくインドネシアのジャーナリスト・バユ(オカ・アンタラ)の奇妙なドラマを描いていく。
以前から日本映画が好きだったというジャヤント監督は「検閲期が厳しいインドネシアにくらべて日本人は暴力表現に対してオープンですから、とてもやりやすかった」と振り返るも「どの国でもネットを開けば暴力やポルノを簡単に見ることができる。だからこそ、暴力をどのように描くのか? ということがフィルムメイカーの課題です。私たちは暴力をそのものを描くのではなく、キャラクターの内面や変化を描くために暴力が存在すると考えています。だから野村は自身をアーティストだと思っている男の暴力を描いていますし、暴力に慣れていないバユの暴力はあえて美しくなく描いています」
そんな暴力に対してまったく正反対のアプローチをとるふたりはネットを通じて出会う。しかし、野村は独自の美学を貫く殺人者で、その内面を探ることはできない。「野村はどういう行動をとるのか予想することができない人物。バユは倫理を持っていますが野村によって引き寄せられていきます。でもふたりのコミュニケーションは決してかみ合うことはありません」。野村は綿密に計画を立てて殺人をおこなうが、その内面は最後まで謎に包まれている。「日本の凶悪犯罪について調べると理解に苦しむんです。日本は美しくて洗練されているのに、犯罪になると理解不可能で極端な犯罪が起こりますよね? 野村を描く際はそのような事件を参考にしました」。
本作で描かれる暴力は、インドネシアの映画人が見た“日本のある側面”だ。礼儀正しく、穏やかで、倫理的なのに、まれに想像を絶する事件が起こってしまう国をインドネシアの映画人はどう描くのか? 「日本だと道を歩いていても自然と安全だと感じますよね? でもNYやジャカルタを歩いている時は常に”安全じゃない”ことを自覚して歩いているんです。日本だと駅で寝てても放置されますしね。だからこそ日本では凶悪な犯罪が起こった時に違いが大き過ぎてクローズアップされるんだと思います。だからこそ日本のダークな部分を描いた映画をもっと撮りたいですね」
『KILLERS/キラーズ』
2月1日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開
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