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その名前が“演劇界の芥川賞”と呼ばれる戯曲賞にも付けられている、日本現代演劇の租・岸田國士。彼の短編8作を新鮮な姿でよみがえらせて評判を呼んだ『犬は鎖につなぐべからず』から7年を経て、ナイロン100℃が、再び岸田戯曲に挑む。構成・演出を手がけるケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)は、今度はどんなふうに名作の数々をコラージュするのか。イメージビジュアル撮影の現場に潜入して、4月から公演がスタートする『パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜』のヒントを探ってみた。
ナイロン100℃『パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜』チケット情報
撮影が行われていたのは、古びたビルのワンフロアを利用したスタジオ。そのレトロな趣漂う空間にあって、いちばんに目に飛び込んできたのは、ポップな色使いの着物たちだ。前作に引き続き着物監修として参加しているのは、豆千代。現代風のモダン着物を発信し続けている彼女ならではの大胆なデザインに目を奪われる。それに合わせるようにして、女優たちも大胆なヘアメイクを施してカメラの前に現れた。最初に登場したのは、緒川たまきだ。大柄の薔薇をあしらった着物に目元を強調した濃いめのメイク。シャッター音が響くたび、妖艶な表情になっていき、緒川本人も「遊女のブロマイドみたいで素敵」とつぶやく。毛髪で作られた大きな髪飾りが印象的な松永玲子が袖を通したのは、ビビッドな赤×黄×緑の格子柄。不安定なポーズに苦心しながらも、徐々にきれいにキメていく。そして、小野ゆり子には、鮮やかなピンクの着物が与えられた。前髪を大きく膨らませてスカーフで包むというユニークなヘアも、この世界観のなかではキュートに映るのだから不思議。3人が3人とも、どこかアンバランスな箇所を作りながら、心惹かれずにはいられない美しさを放っていた。
実際の舞台でも着物は多用される。登場するのが、大正から昭和初期にかけて書かれた岸田戯曲に生きる人物たちだからだ。ただし、上演されるのは青山円形劇場。四方に観客の視線がある演劇的にもアバンギャルドなその場所では、きっと、その和装の人物たちもどこかアンバランスで、だからこそ美しく見えるのではないだろうか。KERAの洗練が創り出す岸田戯曲の世界を楽しみに待ちたい。
公演は4月10日(木)から5月3日(土・祝)まで青山円形劇場にて。チケット一般発売は2月22日(土)午前10時より。なお、チケットぴあではインターネット先行先着プリセールを受付中。
取材・文:大内弓子
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