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今年創立50周年を迎え、多彩なプログラムによる記念公演シリーズを展開している東京バレエ団。そのハイライトともいえる11月の公演、モーリス・ベジャール振付『第九交響曲』のリハーサルのために、モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督ジル・ロマンが来日、3月10日、彼を囲んでの記者懇親会が行われた。
この公演は、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団との共同制作によるもの。「私たちのカンパニーと東京バレエ団には、とても深い繋がりがあり、以前(2010年)にも『春の祭典』を共同プロジェクトで上演しました。そしていま、この時代に『第九交響曲』を上演することは非常に重要なことだと思います。この作品のテーマは、博愛。これは、現代においてとくに重要なテーマだと思われるのです」と話す。
『第九交響曲』は故モーリス・ベジャールが1964年にベートーヴェンの交響曲第9番に振付けたバレエ。ダンサーとオーケストラ、独唱者、合唱団、と総勢350人及ぶアーティストたちが一体となって織りなす壮大なスペクタクルは、日本では1999年にパリ・オペラ座バレエ団が上演、そのスケール感と当時のオペラ座スターたちの華やかな競演が話題に。数々の傑作を遺したベジャールだが、「モーリスはこの作品を、“ダンスによるコンサート”だと言っていました。ここには特別なドラマトゥルギーやドラマ性は反映されません。モーリスの作品の中で、これは、音楽に奉仕するバレエ、音楽的な作品として位置づけられるものです」と説く。
東京バレエ団がまず取り組んでいるのは、第一楽章。“闘争”がテーマというこの楽章をまず東京バレエ団が踊り、「その後、すべての楽章で、私たちのカンパニーと東京バレエ団を融合させていきたい。11月の公演までまだ時間があるので、それぞれのダンサーの適性を見極めながら、最終的に、作品の中にふたつのカンパニーをより融和させた形にもっていけたら、と考えています」。
今回の公演では、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団、さらにズービン・メータ指揮によるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏という、稀に見る豪華共演が実現する。メータについては「とても尊敬しています。ベジャール作品に深い理解を持たれていたことがとても印象的で、その音楽性を賞賛されていました」。世界的マエストロとバレエの、またとないコラボレーションに期待が高まる。
11月の東京での公演ののち、上海公演のほか、来年にはヨーロッパツアーの計画が進行中という。公演は11月8日(土)・9日(日)、東京・NHKホールにて。チケットは7月発売予定。
取材・文:加藤智子
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