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戦時下を舞台に、海軍飛行予科練習生――通称「予科練」として訓練を積み、特攻隊として散っていった若者たちの姿を描いた2013年初演作『見上げればあの日と同じ空』。“若手イケメン”と称される俳優たちが、戦時中に生きた同世代の若者たちの切ない青春に真摯に、熱く向き合い、大きな評判を呼んだこの舞台が5月に再演される。大学の陸上部のライバルであり同じ航空所宿舎に入った成瀬と大橋を演じる若手実力派俳優はこの再演に際し何を思うのか。平埜生成、戸谷公人に今、抱く思いを聞いた。
初演にも出演していた戸谷は「戦争を扱った作品ということで、逆にやる前は“戦争”に囚われすぎてしまったんです。でも実際に演じていくうちに、若者の熱さや、こういう時代の中でも楽しいことや嬉しいこと、仲間との和気藹々とした時間もある、そこは今の僕らと同じなんだなと感じました」と初演を振り返る。「予科練にしても、彼らは“飛行機に乗りたい”という憧れの思いで入っているんですよ。それを知って役へのアプローチも変わりました。自分自身も勉強になりました」。初演時は出演者全員で元予科練の方の話を聞いたりと、フィールドワークも重ねた。予科練の厳しい訓練のシーンのために、稽古場では毎日キツい筋トレもした。「そのキツさも、稽古場から自然にこの作品世界に入っていく力になり、初演のあの熱い舞台になったと思います」。
そんな初演の舞台を、今回初参加の平埜は客席から「ちょっと先輩たちに嫉妬して観ていました」という。「この時代の人たちの生き様に真摯に向き合い、舞台上でその役を生きている先輩たちが羨ましかった。僕も出たい、という気持ちが強かった。今回出演が決まって嬉しいです」。
戦後70年がたとうとしている今、戦争経験者の数もだんだん減ってきている。戸谷は「実際に元予科練の方にお話を伺ったら、学校ではこういう題材について教えない、どうやったら若い子たちにメッセージを伝えられるか、と仰っていた。こういう舞台を、僕たちの世代がやることによって伝えていける。いろんな人に見てほしいです。日本で起きたことだから、日本の人は知っておくべきだと思うんです」と話す。平埜も「当時の彼らの生き様や姿を、等身大の僕たちだからこそ演じられるものがあると思う。当時の彼らに寄り添えるように、僕たちは舞台上で必死に演じて、役を生きていきたいと思います。その必死さが、この作品のテーマに伝わると思います。成瀬と大橋は駅伝仲間ですし、僕たちが“たすきを繋ぐ”、未来に繋げていくという思いでやりたいです」と意気込んだ。彼らの力強いまなざしに、今回も単なる戦争の悲劇ではない、確かにあの時代に生きた若者たちの熱い思いが舞台上に生き生きと描き出されるに違いない、と感じた。
公演は5月21日(水)から25日(日)にかけ東京・本多劇場、5月31日(土)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。チケットは発売中。
スタイリスト:伊藤省吾 ヘアメイク:彰宏(ENISHI)
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