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綾野と成宮、前田らが蜷川の舞台で魅力を発揮
2014年07月30日 14時40分 [演劇]
舞台『太陽2068』
舞台『太陽2068』

前川知大脚本・蜷川幸雄演出の舞台『太陽2068』が好評だ。3年前に前川が主宰する劇団イキウメで上演され、深い文学性で高い評価を得た『太陽』がベース。気鋭の作家の戯曲を演劇界の巨匠がどう料理するのか注目を集めていたが、初主演の綾野剛、蜷川作品に7年ぶりの登場となる成宮寛貴、舞台初挑戦の前田敦子など新鮮な“素材”を得て、全く異なる味わいに仕上がっている。

バイオテロにより、人口が減少した近未来。社会は新人類「ノクス」と、旧来型の人間「キュリオ」に分かれて暮らしていた。ノクスは身体的・頭脳的にずば抜けた能力をもつが、太陽の下では生きられない。一方、キュリオはその能力の差から次第にノクスの支配下に置かれるようになっていた。ある日、キュリオの村に見張り番としてノクスの森繁(成宮)がやってくる。そこには外界に憧れる鉄彦(綾野)と、村を守りたいと願う結(前田)がいた…。

最小限のセットで世界観を見る者に託していた劇団公演とは異なり、蜷川版では舞台をアクリルの床で上下に仕切り、上には村の古びた家々を、下には近未来を示唆する家具を置いて具象化に振り切った。より焦点が当てられたのは、鉄彦と森繁の関係だ。出自は違うが平凡な青年たちが出会い、大切に友情を育むさまを、蜷川はそのまま綾野と成宮という旬の光を放つ役者ふたりに重ねて描いてゆく。前田の瑞々しい存在感と、衝撃的なシーンに体当たりで向かってゆくまっすぐな眼差しも、村に閉じ込められて育った少女の硬質さそのものと感じられた。

振り返れば6月初旬、稽古の初日では緊張気味だった綾野と前田。作者の前川による本読みの間、綾野はすでにセリフを覚えた様子で、鉄彦の心の動きをたどるように空を見つめながら唇を動かしていた。リラックスした姿勢だが真剣な表情で台本を読み込む成宮、時折思いついたようにペンを動かす前田と三者三様の稽古始め。その後、床を覆っていた幕をスタッフが取り去ると、本番同様に稽古場にしつらえたセットが出現。目を輝かせて床に寝転ぶ綾野と、早速あたりを歩いて回る成宮。役者が作品に対してすぐさま創造力を発揮できるようにという蜷川の計らいが、自然とキャスト陣の結束を高めたように思えた。

もちろん若手たちが伸び伸びと舞台にいられるのは、六平直政や中嶋朋子、大石継太、横田栄司、さらに山崎一や伊藤蘭という、善悪二元論では片付けられない人間の業を鮮やかに表現できるベテランたちがいてこそ。綾野らキャスト勢と蜷川に前川、そして観客の誰もが幸せな出会いと感じる舞台になったことは、連日のスタンディングオベーションが証明しているだろう。

舞台は8月3日(日)まで東京・シアターコクーンにて。前売りチケットの予定枚数は終了しているが、チケットぴあでは当日券の販売を電話にて受付。

取材・文 佐藤さくら

チケットぴあ

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