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英国ロイヤル・バレエのスター・ダンサーからミュージカル俳優、振付家へと飛躍して久しいアダム・クーパーが、11月の来日公演ミュージカル『SINGIN’ IN THE RAIN ー雨に唄えばー』に主演する。ジーン・ケリー主演による同名のハリウッド映画を舞台化したもので、アダムを主演に迎えたロンドン公演はロングランになった。秋の来日を控えたアダムに、ロンドンで話をきいた。
ミュージカル『SINGIN’IN THE RAIN〜雨に唄えば〜』チケット情報
舞台は、サイレント映画からトーキーに移り変わる1920年代、台詞を言えるかどうかでスターの命運が決まるという、映画界の内幕を描いたコメディだ。歌のうまい素敵な女の子に恋して幸せいっぱい。青春の真っただ中でずぶ濡れになって歌い、踊るナンバーが「雨に唄えば」だ。アダムも劇中で一番好きな曲だという。そしてステージ上でもほんとうに“雨”が降る。
「客席の前列に水がかかるのでお客さんに了承してもらうんだけど、わざわざ濡れたくてこの席を選ぶ人もいます。これも振付の一部なんだよね。お客さんのリアクションがおもしろいから。でも床が滑るので実はたいへんで、ロンドンに移る前の劇場で僕は4回もころんじゃった。お客さんは驚いたけれど、大丈夫だよって軽くかわすしかなかったね。でもプールの底に使う最良のフロアが見つかったから、もう大丈夫」
ところでアダム・クーパーといえば、男性ばかりの『白鳥の湖』で王子の心を奪ってしまう不思議な白鳥を踊り、一大旋風を巻き起こした。古典バレエ等に独創的解釈を加える振付家、マシュー・ボーンの出世作でもある。
「これのおかげで突然セックス・シンボルだとか騒がれて、びっくりした。でも大きなジャンプをしたわけだから、もうロイヤル・バレエには戻れない。おかげでマシューとも仕事を続けられたし、『白鳥の湖』を日本やブロードウェイに持って行くこともできたんです」
このバレエは、バレエ・ダンサーを目指す貧しい少年ビリーを描いた映画「ビリー・エリオット」(邦題「リトル・ダンサー」)の最後に少しだけ登場する。成長したビリーにアダムが扮して、舞台と同じく主役を踊るのだ。「この映画やマシューの創造力が男性ダンサーのイメージを大きく変えました。タイツをはいた変な男ではなくなったよ(笑)」
アダムはロイヤル・バレエ退団後も、ミュージカルの『オン・ユア・トウズ』、ダンスの『危険な関係』『兵士の物語』で来日しているので、日本の観客を熟知していて、今回の来日に向けても次のようにメッセージを寄せている。
「僕のやることすべてを熱狂的にサポートしてくれます。日本の観客は静かで反応が少ないという人もいるけれど、僕はそうは思わない。公演中は集中しているから静かなだけで、その後はすごい拍手をして爆発する。お客さんの大きなエネルギーを感じます。日本はほんとうに、僕のセカンド・ホームなんだよ」
公演は11月1日(土)から24日(月・祝)まで東京・東急シアターオーブにて。チケットの一般発売は8月2日(土)午前10時より。
取材・文:秋島百合子
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