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麻実れい他、実力派俳優が挑む家族と戦争の物語
2014年09月22日 17時40分 [演劇]
『炎 アンサンディ』稽古場より 麻実れい
『炎 アンサンディ』稽古場より 麻実れい

レバノン生まれ、内戦を経験しフランスに亡命を果たし、その後カナダに移住した劇作家ワジディ・ムワワドによる『炎 アンサンディ』。その経歴ならではの視点で、苛烈な人生を送ったひとりの女性と、その宿命を負った子どもたちの衝撃の物語を切り取ったこの戯曲は、『灼熱の魂』の邦題で映画化もされ、2011年度アカデミー賞外国語映画賞にノミネートもされた。その作品がこのたび麻実れい主演で上演される。ずしりとした手応えの物語に相応しく、実力派が揃うその稽古場を訪れた。

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物語は世間に背を向けるように生きてきた中東系カナダ人女性・ナワルの死から始まる。5年間ひと言も言葉を発することをしなかった彼女は、自分の子どもたちに謎めいた遺言を遺していた。双子の姉にはその父を、弟にはその存在すら知らされていなかった彼らの兄を探し、自らの手紙を渡すようにと。姉弟は、その手紙に導かれるように母のルーツを辿り、知られざるその数奇な運命に対峙していく……。

稽古場には、傾斜のついた舞台。その他のセットはほとんどない。だがスカーフを頭に巻いた麻実れいが、大きな布をマントのように身体に巻きつけた岡本健一がそこに立つと、ただの板の舞台が中東の砂埃舞う地面に見えてくる。佇まいだけで説得力あるキャストたちがこの日稽古をしていたのは、姉娘ジャンヌが母ナワルの秘密に少しずつ近づいているシーンだ。演出の上村聡史は、セリフの中のどの言葉を強調したいのか、その会話からどういった効果を生み出したいのかを丁寧にキャストに伝えていく。それに対し、ジャンヌに扮する栗田桃子らも積極的に意見を出している。結果、ナワルの謎に触れることに内心おそれを抱くジャンヌのヒリヒリとした感情が浮かび上がった。

そんなジャンヌの“現在”と同時に、舞台上にはナワルの“過去”が共存していく。しかも麻実は14歳のナワルを演じたかと思えば、次のシーンでは40歳になる。声のトーンで、表情で、それを体現していく麻実も見事だが、それを違和感なく舞台上に乗せている戯曲と演出の力も見事だ。様々な年代に散りばめられたナワルの“パーツ”が呼ぶ謎が一体、どこへ着地するのか。ミステリアスな物語にぐいぐい引き込まれる。

「“家族”と“戦争”というものが行き来しながら描かれていることが刺激的。戦争というものはどの時代でもあるものですが、この作家はもっとミニマムな単位に落とし込んでいます。家族同士、兄弟同士といった、もともとひとつだったものが憎しみあって…という、根源的な部分を突いている、そこが説教臭さだけでは終わらない物語になっています」と演出の上村。公演は9月28日(日)から10月15日(水)まで東京・シアタートラムにて上演。その後10月18日(土)には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでも上演される。チケットは発売中。

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