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ふたりの男が大地真央を取り合い?  『夫が多すぎて』開幕
2014年10月31日 22時10分 [演劇]
舞台『夫が多すぎて』
舞台『夫が多すぎて』

10月30日、シアタークリエにて『夫が多すぎて』が開幕。それに先立ち29日、ゲネプロが行われた。『夫が多すぎて』はサマセット・モームが今から100年前に書いた戯曲。以降世界中で上演され、また映画化もされた作品。20世紀初頭のイギリス。夫を戦争で亡くしたヴィクトリア(大地真央)が、夫の親友フレデリック(石田純一)と再婚して暮らしているところに、死んだと思っていた最初の夫ウィリアム(中村梅雀)が帰ってくる……という物語。

舞台『夫が多すぎて』チケット情報

幕が開くと、そこは豪奢なベッドルーム。大理石の暖炉、猫足の家具、天蓋つきのベッドが備わった部屋。大きな窓からはイギリスの象徴・ビッグベンが見える。そんな部屋でネイリストに爪の手入れをさせているのは、たっぷりのフリルに色とりどりのバラがあしらわれた部屋着をまとうヴィクトリア――。「戦争のため石炭を節約しなくてはならない」というわりに、人が集まれる居間ではなく、自分のベッドルームの暖炉に火がついている。彼女は全編を通じて、最初の夫も二番目の夫もどれだけ深く愛しているか、そして自分が夫にどれだけ尽くしてきたかをことあるごとに語る。しかしどうもそれは本人だけの認識のようで、ふたりの夫は奪い合うのではなく、やんわりと押し付け合う。傍から観ればまったく的外れなことを真剣に話す滑稽さは、稀代のコメディエンヌ・大地にとってお手の物といった様子。ちょっとした間で観客に想像させる余白を与え、笑いを増幅させる。ふたりの夫を演じる中村と石田のコンビネーションもなかなかのもの。初共演とは思えない息の合い方で、妻を押し付け合う様子に思わず笑いがこぼれる。とくに三人のシーンは稽古でも毎回のようにアドリブが取り入れられてどんどん変わっていったらしく、開幕後もどんなアドリブが飛び出すか、期待が募る。

初日に先立って行われた会見で、大地はふたりの夫に対し「それぞれキャラクターがぴったり合っているんです」と太鼓判。「クレオパトラのような、オードリー・ヘップバーンのような美しさを持つ大地さんとの共演にドキドキ」と語る石田、「大地さんがいろんな顔を見せてくれるので稽古そっちのけて見てしまう」と話す中村と、夫を演じる二人は大地と、彼女が演じるヴィクトリアにぞっこんの様子。実際、劇中でも二人の夫たちは妻を押し付け合いながらも愛さずにはいられないという微妙な心理が描かれている。「戦争で死んだ夫が帰ってくるなんて、普通なら悲劇モノのはずなのにこんな喜劇に仕上がっているのが面白い。みんな大真面目だけどみんなヘンなんですよね」と作品の魅力を語る大地に、石田も「人生のいろんなことを経験した人にも楽しめる舞台になるはず」と同意していた。

舞台は11月17日(月)まで東京・シアタークリエで上演。その後、11月、12月と全国を周る。チケット発売中。

取材・文/釣木文恵

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