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演 劇
今年の春にオンエアされ、大好評を博したアニメ『一週間フレンズ。』(葉月抹茶原作)。その世界観もそのままに役柄同様のフレッシュなキャストで舞台化した公演が、11月14日、東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!で幕を開けた。人気アニメの立体化、さらに絵のタッチもほんわかとしたものだけに、舞台という“現実”でどこまで作品の魅力に近づけるかが注目された本作。主人公の高校生・長谷祐樹役の岡山智樹と、ヒロイン・藤宮香織を演じる岡野真也らの熱演で、舞台ならではの魅力を伝えることに成功している。
17歳の長谷祐樹はある日、暗い表情でクラスでも孤立している藤宮香織と一緒に数学のノートを職員室に届けることになる。思い切って話しかけてみると香織も普通の女の子であることが分かり、祐樹は香織と友達になりたいという想いを強くする。それから数日間、昼休みは屋上でお弁当を食べながら過ごすふたりだったが、金曜日になると香織は「もう会えない」と言い始める。笑顔さえ見せるようになっていた彼女の突然の言葉にショックを受ける祐樹だったが、香織はその理由を「“友達”の記憶だけが1週間で失われてしまう」と祐樹に告げて…。
今作では原作の前半から印象的なシーンを抜き出して構成。香織が特殊な記憶障害になってしまった理由までは語られないだけに、リアルな高校生の日常とファンタジックな設定との擦り合わせが必要となる。脚本と演出を担当した堀江慶は演出をシンプルに、その代わりBGMや照明などで原作に流れる空気感を再現。あとは俳優の力量が舞台の行方を握ることになるのだが、役とおなじ17歳でこれが初主演となる岡山の、飛びぬけてまっすぐな眼差しと愛嬌のあるたたずまいが、リアルとファンタジーの共存を可能にした。一方、ヒロインを演じる岡野は序盤の冷たい表情から、祐樹に心を許し始めたはにかむような笑顔までを大きい振り幅で表現。ちょっとした仕草や声のトーンで心情を細やかに演じ分け、物語の展開につれてその変化もはっきりと伝わってきた。
祐樹の親友でクールな桐生将吾役の戸谷公人や、かなり忘れっぽい性格で香織と友達になる山岸沙希役の川上ジュリアは、岡山と岡野をしっかりと脇から支えている。特にローテンションながら思ったことをズバズバ言うイケメンの桐生を独特のテンポで演じた戸谷は、後半、少しの表情の変化で桐生の内面をきちんと見せた。見終わった後、物語と演者の熱演の両方で、じんわりと心が温まる1本である。
公演は11月24日(月・休)まで東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!にて。チケットは発売中。
取材・文 佐藤さくら
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