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クラシック
東京都交響楽団桂冠指揮者エリアフ・インバル(1936〜)。細部をないがしろにしない緻密な音楽づくりに、近年は大胆で自由な勢いにもいっそうの充実が加わり、その芸境はいよいよ深まっている。3月、楽団の創立50周年を記念し、東京での第784回定期演奏会と同じプログラムを携えて名古屋、福岡でも公演を行なう。演奏曲目は、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ〜前奏曲と愛の死》とブルックナーの《交響曲第4番》。公演を前にインバルからメッセージが届いた。
「都響の魅力は、特にその日本的≠ネクオリティにあります。豊かな色彩、繊細さ、調和のとれた面が、素晴らしいヴィルトゥオーソ、演奏のスタイル、ダイナミックさでさらに強調されます。それは国際的にも高いレベルです」
インバルが初めて都響を指揮したのは1991年。その後、特別客演指揮者(1995〜2000年)、プリンシパル・コンダクター(2008〜2014)を務めるなど、両者は20年以上にわたって密接な関係を築きあげてきた。
今回のメイン・プログラムであるブルックナーの交響曲第4番は、その明るく美しいメロディにより、一般に、「ブルックナーは重厚長大で苦手」と敬遠する人にもとても聴きやすい作品として知られている。しかし巨匠はさらに、そこから「宇宙の存在」をすくい取る。
「この交響曲はとても成熟した作品で、味わいの深いメッセージです。自然が持つ力や、美しさや、永遠の広がりに対する感嘆の念。宇宙の力や、神秘や、無限に対する感嘆の念。神による創造や、神が人類に与えたもう影響に対する、感嘆と賛美。ブルックナーは、宇宙の存在の意味を音楽で見いだそうとした作曲家の一人です。アインシュタインが相対性理論によって明らかにしようとしたこと、つまり万物の法則を、ブルックナーは音楽で試みたのです」
抜けるような青空の向こうに、実は無限の宇宙が広がっているのと似ているかもしれない。定評あるインバル=都響のブルックナーの力強い響きが、それを眼前に現して、宇宙の深遠を体感させてくれるにちがいない。
文・宮本明、コメント翻訳・東京都交響楽団、ぴあ
■日程・会場
2015/3/14(土) 愛知県芸術劇場 コンサートホール
2015/3/15(日) アクロス福岡 福岡シンフォニーホール
2015/3/18(水) 東京文化会館 大ホール
■出演
指揮/エリアフ・インバル
■曲目
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》より「前奏曲と愛の死」
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調《ロマンティック》(ノヴァーク:1878/80)
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