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倉本聰が“遺作”のつもりで取り組む舞台『屋根』とは?
2015年12月17日 17時00分 [演劇]
倉本聰
倉本聰

倉本聰が作・演出を手がける富良野GROUP公演『屋根』が、2016年1月から3月にかけて全国ツアーを行う。公演に向けて、倉本が作品に込めた思いを語った。

舞台『屋根』チケット情報

2001年に初演。2003、2009年と上演を重ねる『屋根』は、数ある富良野GROUPのレパートリーの中でも人気が高い。「80歳になり、舞台に付き合っているのが体力的に無理になってきたので、2017年に上演する『走る』の演出は人に任せて僕は一歩引こうと思っています。だから今回は、遺作みたいなつもりで取り組みたい。それにはやっぱり『屋根』がふわさしいと思ってこの作品を選びました」と倉本は話す。

『北の国から』で20年以上の長きにわたって黒板五郎一家の変遷を追い続けた倉本が、この物語ではさらにキャンバスを広げ、富良野に暮らすひと組の夫婦の歩みを、大正から平成まで実に70年を超えるロングスパンで描く。注目したいのは、作者が据えた視点の位置だ。登場人物から見た世界を描くのではなく、家族を雨風から守り続けた屋根のアングルで、夫婦の半生を定点観測する趣向。

明治生まれの公平としのは、小さな開拓小屋で新婚生活を始め、9人の子宝に恵まれ、戦争を生き延び、高度経済成長を目の当たりにし、寂れゆく農村で静かに歳を重ねていく。倉本は言う。「われわれの食料の生産地である農村がどんどんないがしろにされ、高齢化とともに疲弊していく一方、それを消費するだけの都会が幅を利かせ、国を動かしている。夫婦は最後にどこに救いを求めたらいいのか。日本はこのままではいけないという思いで書いた作品です」。

短期的な利益に目を奪われ、長期的に見た損失が想像できない。日本人はいつから今のようになってしまったのか。「やはり戦後の転換は大きかったと思います。民主主義は権利と義務の両輪で動くと教わりながら、義務ばかり押し付けられてきた反動で、権利を主張できることに舞い上がって、肝心の義務を忘れてしまった。そして資本主義によって、それまでは節約が善で浪費が悪だと言われていた倫理観が180度変わってしまったんです」。

「前年比アップ、右肩上がり、という経済の考え方は、自然を相手にする農業にはありえない」と語るが、これは物事を俯瞰する視座を持つからこそ見える真実だろう。そんな倉本がズームを引いて、長い尺度で描かれる『屋根』には、日本人が忘れてしまった大切なものが織り込まれている。富良野GROUP『屋根』は、1月16日(土)に北海道・富良野演劇工場で幕を開け、東京・新国立劇場など全国25か所を巡演する。

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