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傘寿を迎えた巨匠インバル、都響デビュー25周年
2016年03月20日 11時10分 [オーケストラ]
エリアフ・インバル  (C)堀田力丸
エリアフ・インバル  (C)堀田力丸

代名詞とも言える精緻きわまる丁寧な音楽づくりに、自由でエモーションナルな歌ごころも加わり、鬼に金棒の風格が漂ってきたエリアフ・インバル。3月は桂冠指揮者を務める東京都交響楽団のふたつの定期演奏会を振る。

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3月24日(木)はバーンスタインの交響曲第3番《カディッシュ》。徴兵されてイスラエルの軍のオーケストラでヴァイオリンを弾いていた 若きインバルを見い出し、アメリカ=イスラエル文化財団に推薦して 欧州留学のきっかけを作ったのがバーンスタインだった。

「カディッシュ」は本来ユダヤ教の死者への祈り。エルサレム生まれのインバルにとっても身近な素材だ。ある時インバルは作曲者自身の《カディッシュ》のリハーサルに立ち会う機会があり、直接意見を交わすことができたという。

「この作品には、彼の人間性、信仰、平和へのねがいが息づいています」(インバル)

ヘブライ語による合唱とソプラノ独唱、そしてバーンスタイン自身が書き下ろした英語の語りを伴う大規模で劇的な作品だが、今回の語りの台本はオリジナルと異なる。ナチ収容所の生存者であるユダヤ系ポーランド人サミュエル・ピサールによるテキストで、バーンスタインの依頼により、しかし作曲家の死後、2003年に完成、初演された。「これは私のパーソナルなカディッシュである」と始まるこの新たな台本による上演を、バーンスタイン財団はピサール自身が朗読する場合のみ許可してきたという。しかし昨夏にピサールが逝去し、今回は急遽、彼の遺志を受け継いだ妻ジュディスと娘リアが朗読する、新たな形での上演となる。

3月29日(火)は、ショスタコーヴィチの交響曲第15番。1990年代初めにウィーン交響楽団と録音した交響曲全集が現代のショスタコーヴィチ受容の金字塔であるように、インバルのショスタコーヴィチ解釈には定評がある。都響とも継続的に取り上げており、2012年にリリースされた交響曲第4番のライヴCDが同年のレコード・アカデミー賞を受賞するなど注目度も高い。

第15番はショスタコーヴィチ最後の交響曲。《ウィリアム・テル》序曲などいくつかの他人の作品が引用されているが、その理由が明らかではない、いわば謎の交響曲だ。

今年2月に満80歳になった。9月定期では都響デビュー25周年記念も兼ねた祝賀公演も予定されている。日本流に言えば傘寿を迎えた現代の巨匠に、さらに注目だ。

取材・文:宮本明

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