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ギルバート×都響による新たなマーラー
2016年07月15日 17時40分 [オーケストラ]
アラン・ギルバート指揮 東京都交響楽団 (c)堀田力丸
アラン・ギルバート指揮 東京都交響楽団 (c)堀田力丸

今年1月に5年ぶりの客演を果たし、エネルギッシュなサウンドで聴衆に鮮烈な印象を与えたアラン・ギルバートが、早くもこの7月都響に再登場。1月のオール・ベートーヴェン・プロと、ギルバート自身の編曲のワーグナーを含む近現代プロは、サウンドのすみずみまで熟考された創意が組み込まれ、都響の生き生きとしたリアクションは、オーケストラと指揮者の格別の相性のよさを感じさせた。今回はモーツァルト『交響曲第25番 ト短調K.183』とマーラー『交響曲第5番 嬰ハ短調』を演奏する。3回目の顔合わせで、都響がレパートリーとして誇るマーラーを取り上げたことには、大きな期待を抱かずにはいられない。ここで「何かが起こる」のは確実だ。

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ギルバートと都響との初共演は2011年に遡る。そのときに演奏されたブラームスの『交響曲第1番』は今でも伝説だ。崇高でドラマ性に溢れ、あの有名な最初の一音からオーディエンスを痺れさせた。09年からニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督を務めるギルバートが都響から引き出した音は、アメリカ的なビッグ・オーケストラのイメージとは趣を異にする、重厚で繊細なハーモニーで、そこにはこの指揮者とオーケストラでしか生起しないユニークな「世界」が存在していた。あれから5年。都響とギルバートの関係はいよいよ本格的な成熟へと向かっている。

都響とマーラーの関係はオーケストラの歴史を紐解いても非常に深く、鉄壁のレパートリーであるだけに、「新しい指揮者」がこれに挑むことには大きな注目が集まる。桂冠指揮者エリアフ・インバル氏が「マーラーの交響曲全曲は、長編小説のような世界です」と語り、2年の年月をかけて2度目のツィクルスを完遂させてからまだ間もない。「都響のマーラー」に大きな愛着を感じているオーディエンスもいるかも知れない。一方、アラン・ギルバートにとっても、マーラーは特別なレパートリーだ。マーラーはニューヨーク・フィルハーモニックの常任指揮者であり、オーケストラの質を向上させ礎を築き、その関係は死の年まで続いた。時折バーンスタインを思わせるギルバートの「熱い」マーラーは、彼が「御本家」のマーラー指揮者であることを実感させる。指揮者とオーケストラ、どちらにとっても王道の作曲家であるがゆえに、月並みならぬ化学反応が期待できるのだ。

公演は、7月24日(日)・25日(月)、東京・サントリーホール 大ホールにて。

文:小田島久恵(音楽ライター)

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