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約70席の小劇場で上演される、鈴木勝秀の骨太な会話劇
2017年09月20日 18時25分 [演劇]
(左から)味方良介、猪塚健太  撮影:石阪大輔
(左から)味方良介、猪塚健太  撮影:石阪大輔

エドワード・オールビーの『動物園物語』をベースに、鈴木勝秀がライフワークとして手がけているシリーズ作品『ウエアハウス』。その最新作『Small Room』に出演する佐野瑞樹、味方良介、猪塚健太の3人に話を聞いた。

舞台「ウエアハウス〜Small Room〜」チケット情報

舞台は取り壊しが決定している教会。“暗唱の会”メンバーのエノモトがひとり練習をしていると、シタラという若い男が現れる。ふたりで会話を進めるうち、徐々にエノモトはシタラのペースに巻き込まれていき……。

鈴木の書き下ろしとなる本作。脚本を読んだ第一印象を訊ねると、3人とも「骨太」と声をそろえる。そしてその面白さに魅了されつつも、自分たちが演じることには不安も大きいようで、「出来るならば観たいね(笑)」と佐野。さらに味方も「2回本読みしただけで結構バテました」と漏らす。というのも出演者は3人のみの会話劇。しかも客席数70ほどの小劇場ということで、猪塚は「全部お客さんに伝わっちゃう」と緊張感をにじませる。

それぞれの役どころについて、「エノモトは一番スタンダードに演じていかなければいけない役。普通に家庭があり、ちょっとしたことに喜びを、ちょっとしたことに不安を感じるような等身大の男です」と佐野。味方は「シタラはちょっと常軌を逸した部分もありながら、すごく頭のいい男。彼独特の会話のリズムがあって、自分がそこに入れないと崩れちゃう。すごく難しい役です」と分析する。また猪塚演じるテヅカは、暗唱の会に参加し、教会取り壊しにも関わっている区役所の人間。猪塚は「なんか鼻につく男」と笑いつつ、「偉そうなことを言うんだけど、中身は空っぽ。そういう世間の嫌な部分を表したような男であり、そこから何かこのふたりに与えることが出来ればいいなと思います」と意欲を見せる。

エンタメ重視な舞台とは一線を画する本作。猪塚が「3人の会話を覗き見るつもりで来てもらえば。きっと自分の中にある何かが触発されると思います」と切り出すと、味方は「この作品は動きがない分、演劇のすごく細かい部分を詰めていかないといけない。そういった中から、この脚本の本質がどういったものなのかが見えてくると面白いなと思います」と期待を寄せる。さらに佐野も「観る前から難しいかもと敷居を高くせず、ぜひこういう演劇らしい演劇を観に来てもらいたいですね。そうすることで他の舞台の観方も変わってくると思いますよ」と演劇愛あふれる言葉で本作をアピールした。

公演は10月8日(日)から11月7日(火)まで、東京・アトリエファンファーレ高円寺にて。

取材・文:野上瑠美子

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