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紅ゆずるが新たに「レトロな格好良さ」で魅せる
2017年09月25日 16時50分 [演劇]
紅ゆずる 撮影:奥村達也
紅ゆずる 撮影:奥村達也

宝塚歌劇団星組トップスター・紅ゆずるが、自身初の宝塚大劇場オリジナル主演作に挑む。ミュージカル『ベルリン、わが愛』は、演劇賞を受賞した『For the people ―リンカーン 自由を求めた男―』の原田諒による新作。1920年代から30年代のベルリンを舞台に、ナチスの圧力に抗い映画作りに邁進した人々が描かれる。

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ポスターの扮装でもクラシカルで粋な雰囲気を出していた紅。「私はコスチューム系が多く、スーツものでの主演作はあまりないので、(スーツものならではの)様式美や佇まい、レトロな格好良さを出せたらと思います」と新たな男役像に意気込む。

紅が演じるテオ・ヴェーグマンは、のちにヨーロッパ初のトーキ―映画を手掛ける映画監督。陰と陽、両方の面がある大人の男性だという。「“芯”が燃えているからこそ行動に出る情熱的な人。戦争との距離感など役作りは難しいです。ただ最初は戦争の影がないところから始まりますし、決して重たい作品ではありません。色々な困難を乗り越えて彼自身成長していく物語です」

映画監督の「こだわりが強いところ」は自身と似ているとも。「稽古をしていて“違う”と思ったら、そのままにせず『もう一度させてください』と先生にお願いします。つかみきれないまま、スーッと流れてしまうのが嫌なんです」と笑う。星組トップスターに就任し約10か月。「組全体をすごく見るようになりました。例えばお稽古場でも『あの早替わりは間に合うのかな』とか、自分の場面だけではなく他の場面も気になります」。その広い視野とモチベーションの高さは今作の役で存分に活かされるだろう。

同時上演の『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』は、ベテラン演出家・酒井澄夫が手掛けるレビュー。タカラヅカレビュー90周年を記念し、宝塚の名曲や新しいスパニッシュの場面などでバラエティ豊かに綴る。「最近の宝塚のショーとは一風違う、王道のレビューです。酒井先生は歌や踊りにも“どういう物語を感じるのか”など、内面からのアプローチを要求されるので、お稽古も楽しいです」と充実した笑顔を見せる。

今年11月には紅と同期である宙組トップスター・朝夏まなとが退団する。先日朝夏の舞台を観劇した紅は、「(宝塚音楽学校の)予科のときから仲が良かったんです。トップスターとして今すごく輝いていて、『あの時の女の子が、よくぞここまで』と思いました」と嬉しそうに話す。来年は台湾公演も控えている紅。「私も頑張ります!」と明るく言い放つ言葉の裏に、宝塚歌劇団を頼もしく導く覚悟を感じた。

公演は兵庫・宝塚大劇場にて9月29日(金)から11月6日(月)まで上演。チケットは発売中。東京宝塚劇場公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで。10月22日(日)より一般発売が開始される。

取材・文:小野寺亜紀

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