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8月26日(日)に東京・紀尾井ホールで「アヴィシャイ・コーエントリオ with 17ストリングス」としての公演を控えているアヴィシャイ・コーエン。
イスラエルから単身乗り込んだニューヨークのジャズ・シーンで、アヴィシャイ・コーエンを輝かせたのはベースであり、その卓越したプレイはチック・コリアを始め、多くのミュージシャンを魅了した。また、マーク・ジュリアナ、シャイ・マエストロ、ニタイ・ハーシュコビッツなど気鋭のミュージシャンを輩出した自身のトリオも高い評価を得てきた。だが、一方で彼は実にさまざまな顔を持つ音楽家でもある。
ピアノからスタートした音楽遍歴は、ロックンロールと出会ってエレクトリック・ベースに移り、ジャコ・パストリアスに魅了されてジャズを志すと同時に、ユダヤ音楽からラテン音楽、中世ヨーロッパの古謡まで、多様な音楽文化を咀嚼してきた。そのことが、アヴィシャイを特別な音楽家たらしめたのだ。
2014年リリースの『アルマー』ではストリングスをフィーチャーし、トリオを室内楽や伝統音楽に紐付けるアンサンブルを創出したが、最新作『1970』は自身も歌うヴォーカル・アルバムで、ビートルズから伝承曲やオリジナル曲まで、ルーツを意識した音楽を表現した。また、同じイスラエル出身で、中東の音楽とアフロビートやファンクを融合させたバンド、クォーター・トゥ・アフリカとステージや録音を共にするなど、近年のアヴィシャイ・コーエンの活動は多岐に渡っている。
今回の「アヴィシャイ・コーエン トリオ with 17ストリングス」は、彼の最新のチャレンジである。『アルマー』は好評を博し、「アン・イブニング・ウィズ・アヴィシャイ ・コーエン」というオーケストラ公演に発展した。パリ交響楽団とのステージなどを既に成功させているが、今回は17名の日本の弦楽器奏者との共演だ。しかも、『1970』の録音にも参加した同郷のイタマール・ドアリ(パーカッション)と、アゼルバイジャン出身でブラッド・メルドーらも絶賛するエルチン・シリノフ(ピアノ)との新しいトリオが登場する。『アルマー』に表現されたアンサンブルはさらにどんな変化を遂げるのか、期待は尽きない。
文:原雅明(音楽評論家、レーベルringsプロデューサー)
■Blue Note Tokyo 30th Anniversary presents“アヴィシャイ・コーエントリオ with 17ストリングス”
8月26日(日)紀尾井ホール(東京都)
【1st stage】 開場14:30 / 開演15:00 【2nd stage】 開場17:30 / 開演18:00
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