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日本フィルハーモニー交響楽団の11月23日(金・祝)の東京・オーチャードホールでの特別演奏会《ロシアン・セレブレーション》と、11月24日(土)の神奈川・横浜みなとみらいホール 大ホールで行われる横浜定期演奏会にソリストとして参加し、チャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調』を演奏する小林美樹。既に日本フィルとは2017年の九州ツアー(指揮・広上淳一氏)で共演済みだが、桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフ氏との顔合わせは今回が初となる。若手演奏家の中でも躍進めざましい彼女に、2日連続演奏会の抱負をたずねた。
「今年になってからチャイコフスキーを演奏する機会が続いたので、9月にサンクトペテルブルクとモスクワを旅行したんです。日本ではまだ残暑の季節だったのに、ロシアは4度しかなくて…サンクトペテルブルクではチャイコフスキーのお墓参りもしました。初めて訪れる国で、行く先々で“日本とは全然違う!”と驚きを経験しました」
チャイコフスキーのコンチェルトは過去にも4回演奏しているが、毎回違ったアプローチになると語る。「本番では興奮してしまうのか、リハでやらなかったことも色々加えてしまうのですが、日本フィルさんは必ず合わせてくださるから安心なんですよ。チャイコフスキーのコンチェルトは、色々ヴァイオリン協奏曲の名作がある中で、華やかさとスケール感で抜きんでていると思います。テクニック的な難易度よりも、息の長さに圧倒される曲ですね。ロシアの第一印象は、冬が長い国だということ。冬の寒さに耐え忍んで春を待つ感じと、息が長くて息継ぎが出来ない苦しさをオーバーラップさせながら、曲のイメージを膨らませているんです」
ソロリサイタルや室内楽、コンチェルトの他、オーケストラの中で弾く経験も大切にしているという彼女。「宮崎国際音楽祭では、チャイコフスキーの交響曲の4番と5番と6番に乗りました。オケの中で弾いていると、あれだけヴァイオリン奏者がいる中で、ソリストには全く別の役割があるのだなと実感します。重要なのは音量より音の質感ですね。丸みのある音だとソロとして響かないことがあり、主役として際立たせる音が必要なのですね」
2日間の演奏会は、すべてノーカット版で演奏する。ラザレフとのリハーサルは「怖そうだけど楽しみ」と無邪気な表情。ロシアを祝福するこのプログラムの後半では、プロコフィエフのバレエ音楽『ロメオとジュリエット』(ラザレフ版)がプログラミングされているが、これは7年前の震災の当日と翌日に、ラブレフと日本フィルが非常事態の中、コンサートで演奏した特別な曲。感動もひとしおになるはずだ。
両公演のチケットは発売中。
取材・文:小田島久恵
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