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愛が詰まった直球のセリフが沁みる、ベッド&メイキングスの新作
2019年03月19日 10時45分 [演劇]
ベッド&メイキングス 第6回公演「こそぎ落としの明け暮れ」

ベッド&メイキングスの最新作『こそぎ落としの明け暮れ』が、現在、東京芸術劇場 シアターイーストで上演されている。作演出の福原充則は、前作『あたらしいエクスプロージョン』にて岸田國士戯曲賞を受賞。本作が受賞後初の書き下ろし作品となる。

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入院中の姉・和子(町田マリー)の見舞いに訪れた真理子(安藤聖)。同部屋の時村(島田桃依)は少々問題のある患者で、その日も彼女が雑誌を盗んだと、売店の店員・勝呂(佐久間麻由)が病室にやって来る。一方、看護師の吉村芒恵(野口かおる)は、別れたばかりの昭一(富岡晃一郎)と言い争い中。というのもある理由から、芒恵は昭一に30万円を受け取ってもらおうと必死なのだ。するとそこに害虫駆除業者の片桐(吉本菜穂子)、常滑(石橋静河)、近藤(葉丸あすか)が現れて…。

福原らしい、愛らしさと不器用さと面倒くささが詰まった会話劇である。登場人物たちは皆、自分にとって大事な誰かのことを思い、そして行動を起こす。それはもちろん優しさゆえの行動なのだが、その優しさが過度であるため、もしくは方向違いであるために、結果的に空回りしてしまう。だがそれこそ人間の愛しさであり、バカバカしさであり、たまらない面白さなのだ。

そんな人間くささ全開の登場人物たちが発するセリフは、どれも驚くほど直球で、観客の心にズドン!と突き刺さるものばかり。その陰に福原の恥じらいを感じつつも、“愛”をテーマにしたこの作品には、これら直球のセリフがしっくりとなじむ。また本作は、野外劇や円形舞台など、過去公演のような演劇的な仕掛けは用意されていない。以前福原が「現代口語演劇の前夜にあったような、いわゆる演劇っぽい会話劇になりそう」と語っていたように、あくまで会話の積み重ねによって紡がれるドラマ。そういった点で、これまでのベッド&メイキングスとは少し異なった趣も感じられる。

だが笑いどころも多く、しっかりエンタテインメントとして成立しているのは、メンバーの富岡を筆頭に、安藤や町田、吉本など、ベッド&メイキングス経験済みの巧者たちによる働きが大きい。旗揚げ公演『墓場、女子高生』(2012年)にも参加していた面々で、役者陣に対する福原の信頼の強さは、劇団の、そして作品自体の成熟へとしっかりと結びついているようだ。そんななかでも石橋、島田といった初参加組も確かな印象を残しており、この劇団のこれからがより一層楽しみになる一作だった。

公演は3月27日(水)まで東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて。その後、長野、三重、福岡を周る。チケットは発売中。

取材・文:野上瑠美子

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