大相撲の横綱審議委員会が26日、東京・両国国技館で定例会合を開いた。大相撲秋場所でカド番から全勝で初優勝した大関豪栄道(30=境川)について、守屋秀繁委員長(千葉大名誉教授)は「15戦全勝で相撲内容もいい。大変よくやった」と豪栄道の秋場所の活躍を称賛した。

 豪栄道は次の九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)で綱取りに初挑戦する。守屋委員長は来場所の昇進の基準を「13勝以上の優勝」と目安を挙げつつも「鶴竜は最初(綱取り1場所目)は優勝に準ずる成績(優勝決定戦進出)で評価された。どういう相撲を取るかが議論の対象になる」と相撲内容を考慮する構え。都倉俊一委員(作曲家)も「全勝優勝だから、14勝とは意味合いが違う。優勝なら文句なし。準優勝でも諮問があるかもしれない。優勝できなくても14勝ぐらいなら…」との見解を示した。

 横審委員の意見を総合すると、九州場所で優勝すれば横綱昇進は当確。仮にV逸でも14勝以上、もしくは13勝で優勝決定戦進出なら“GOサイン”が出る可能性もある。秋場所で3場所連続の綱取りに挑んだ大関稀勢の里(30=田子ノ浦)は「優勝」が絶対条件とされた。一見すると豪栄道の条件は“甘め”にも映るが、そうではない。

 稀勢の里は最高成績が13勝。優勝はもちろんのこと、優勝と同格と見なされる決定戦への進出すら経験がない。豪栄道の「優勝」や「全勝」と比べると“重み”の点で見劣りしてしまうのだ。豪栄道の綱取りの成否は別にして、やはり横綱は賜杯を抱いてナンボの地位。そのことが改めて浮き彫りになった格好だ。