稀勢の里、豪栄道相手に3勝8敗 北の富士氏「悪いものを見ちゃったな」
「大相撲秋場所」(9日初日、両国国技館)
左大胸筋負傷などで8場所連続休場中の横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が4日、都内の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、一門外から出稽古に来た大関豪栄道(境川)と11番取って3勝8敗と大きく負け越した。
最初の一番、出足鋭く、左を差すと一気に押し出した。しかし二番目以降、相手の力強い踏み込みに防戦一方。懐に潜られ、なすすべなく後退。土俵外に吹っ飛ばされると「あー」と悔しがった。
最後は立ち合いで崩れるように前のめりに倒れた。3連敗を喫し反撃するどころか、自ら稽古を打ち切った。
夏巡業にフル参加し、場所前の稽古も順調に調整。前日の連合稽古は小結玉鷲(片男波)を9勝1敗と圧倒し復調をアピールした。しかし、好調の大関にはかなわなかった。
進退を懸け秋場所出場への意欲は変わらない。稽古後は「まあまあ、(相手も)立ち合いが低かったから。いい稽古になった。(収穫は)どうだろ。相手の速さと強さが感じられた。まあしっかり修正して。またしっかりやることやって場所に臨んでいきたい」と、前だけを見据えた。
見守った周囲も不安と期待が入り交じる。元横綱で解説者の北の富士勝昭氏は「悪いものをみちゃったな。後ろに下がったら残れない。前に出たら腰砕け。何をしようとしているのか分からない。今の状態では相手が強すぎた。昨日(先発復帰したエンゼルスの)大谷翔平も3カ月休んだら打たれる。1年休んだらそんなに簡単にはいかない。もう出るしかない。結果はやってみないと分からない。やるしかない」と、ハッパをかけた。
尾車親方(元大関琴風)は「3つ勝ったのは収穫。前(稽古総見では)全然ダメだった。最初の相撲は左が入って。あの相撲だよ。悪くないと俺は思う。最初の相撲が彼の相撲。あれを忘れないでいけば。トップクラスとやったわけだから。序盤4勝1敗くらいでいけば気持ちも乗ってくる。やってみないと分からない。試練の場所。軽くはない」と、厳しい場所となる見通しを示した。