2月公演をもって吉本新喜劇座長を勇退する辻本茂雄(54)が8日、京都市内で特別公演「茂造の覚悟」(4月23日~5月6日、よしもと祇園花月)の会見を行った。

昨年11月末、勇退発表後、会見は初めて。吉本側から勇退を伝えられた当初は「ああ、そうなんや。動員数では野球選手に例えるなら3割を打って、30本の本塁打を打っているのに、やめるのかというのはちょっとあった」。新喜劇のトップスターは当初、わだかまりがあったことを明かした。

一昨年の冬に「新喜劇の世代交代があるかも」という話があったという。吉本側とは話し合いを重ね、現在の心境について「後輩の座員がなかなか育っていない。年配の方々がやめていく方が増える中、僕らが年配になって若手を支えていこうやないかという気持ちに切り替えた」と説明した。

今月4日、吉本興業は新喜劇が結成60周年を迎える3月1日に現在の6座長制から、4座長に次期座長候補の4リーダーを加えた体制に移行し、現座長の内場勝則(58)と辻本の2月公演での座長勇退を発表した。

辻本は漫才コンビ「三角公園USA」を経て89年、吉本新喜劇に入団。11年に新喜劇座長に就任した。白髪を生やしたジャージー姿の老け役のキャラクター「茂造」で幅広い世代から人気を得て、座長として新喜劇をリードしてきた。「世間で有名になることができたのは吉本新喜劇のおかげ。いまから僕がベテランとして若手を育てていって、恩返しせなアカンなという気持ちです」

勇退発表後、ファンが泣きながら近寄ってきて「あまりにも急すぎて…」と惜しむ声に「死んだんちゃうって」と切り返したという。男性ファンからは「辻本さん、なんでや。なんでやめんのや…」と迫られたことも。「ハンカチ持って号泣するのはやめてください。知らん人がみたらおかしな関係に見えるやん。ぼくはベテランになって支えていくので、やめるわけではないです」と笑顔でファンにメッセージを送った。

特別公演は09年から上演されており、今作が第11弾。今回は一人二役をこなし「茂造ワールド」がたっぷり楽しめる舞台だ。「友情の涙あり、親子の涙あり。笑って泣けるお芝居にしたい」と抱負を語った辻本は「足を運んだらどうや」と新喜劇でおなじみの言い回しでPRした。