京大卒の音楽クリエーター・ヒャダイン(前山田健一=38)が9日、都内で行われた「乾癬(かんせん)メディアセミナー」(アッヴィ合同会社主催)に出席し、乾癬患者応援ソング「晴れゆく道」を初披露した。

 ヒャダインは2012年に乾癬を発症し、ブログで告白した。「町医者に行ったら『乾癬だね。治らないよ』と言われて絶望的な気持ちになった。ステロイドを塗ってごまかしていた。ブログに書けば少し楽になるかなと思った」と振り返る。

「2010年くらいから『ももいろクローバー(Z)』に関わって、僕もテレビに出るようになり、とても忙しくなった。そして、赤いのがポツポツと肌に出てきた」。次第に患部が真っ赤に腫れていき、白い鱗屑(銀白色のフケのようなもの)が無限に出てきたという。

 特に飲酒後は症状がひどくなるため、好きな酒を控えるようになった。人前で裸になるのが嫌なため、趣味のマッサージやサウナ巡りもちゅうちょするようになった。

 ヒャダインは「背中がすごかったので誰にも見せられなかった。それが、人間ドックに行った時に専門医を紹介してもらって劇的によくなった。薬があってよかったと痛感している。完全に治るとは言われていないが、僕は特別じゃなくて治る可能性があると感じるようになった。絶望するよりも、ちゃんとした治療を受けるべき。昨日はヘッドスパをしてきた。頭皮が真っ赤だった昔なら考えられないこと」と話す。

 続けて「黒い服に鱗屑が出ていると、フケと勘違いされて不潔に思われる。僕は特に髪の生え際が真っ赤だった。今、こうして髪を上げられるのが幸せ。よく帽子をかぶっていたが、あれは患部を隠していた。あとは髪を下ろしたりしていた。メークさんだけには説明して、真っ赤な頭皮をカバーしてもらっていた」と打ち明けた。

 2017年、モデルの道端アンジェリカ(33)がSNSで乾癬を告白したことは、ヒャダインにも影響を与えた。「美を売りにしている方が、デメリットになるかもしれないことを押して公表に踏み切ったことが、僕に勇気をくれた。一人で闘っている気になっていたが、僕も誰かの力になりたいと思った」という。

 それが今回の楽曲提供につながった。作曲にあたっては説教くさくならず、患者を傷つけないよう配慮した。「ストレス、食生活、運動不足が悪いと言われているから、症状が悪化すると患者は自分を責めてしまいがち。でも患者さんは皆、十分頑張っている。前向きでアップテンポな曲にした。このMVを見て症状に気づく人が出てくれればいいし、乾癬やほかの皮膚疾患の人の応援にもなればいい」という。