山手線新駅「高輪ゲートウェイ」の名称撤回を求めて署名活動などを行ったコラムニスト能町みね子さん(40)が、7月1日に都内で「第1回 駅名向上委員会~山手線新駅名の署名はどうなった? 現場報告&もろもろトーク~」と題したイベントを行った。

能町さんらが、「高輪ゲートウェイ」の駅名が元来の地名を軽視している、として行った署名活動の報告と啓発イベント。そういうと固いイメージになるが、そこはバラエティー番組にも出演する能町さんらしく、笑いや毒も交えた約2時間半のトーク。100人以上で埋まった客席も、お酒片手にリラックスしたムードで、地名・駅名論に聞き入った。

さて、署名活動のころから分かっていたことではあるのだが、この運動、趣旨に賛同して参加している登壇メンバーの地名・駅名に関する知識とこだわりが、半端ではない。

能町さん以外に4人。日本地図学会「地図と地名」専門部会主査の今尾恵介さん、国語辞典編さん者の飯間浩明さん、立正大地球環境学部の非常勤講師の杉内由佳さん、境界協会主宰で月刊誌「地図中心」編集長の小林政能さんの面々だ。

テレビ朝日系「タモリ倶楽部」やNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演歴があるメンバーもいる。話題は「ゲートウェイ」反対運動から、他路線の地名・駅名全般にも波及。JR西と近鉄「吉野口駅」(奈良)が吉野から徒歩数時間の距離にあること、JR東「くりこま高原駅」(宮城)の標高がわずか20メートルちょっとであることなどの“地名・駅名トリビア”が次々と披露された。

「ゲートウェイ」決定後に、京浜急行が小中学生を中心に募集した駅名が「花月総持寺」などの子供離れした結果になったことが紹介されると、場内に笑いも。今尾さんは「穏当な結果。能町さんの署名活動が効いている」と評価した。他につくばエクスプレスにカタカナや造語の駅名が多いことも「キラキラ駅名」として話題に上がった。能町さんは山手線すべての駅名を、地名ベースに変えた案を披露した。

能町さんによると、3月に署名4万7930人分を提出後、JR東日本からの連絡はないという。ただ「みんなが自然と高輪と呼ぶように、ゲートウェイと呼ばせないようにしていきたい」と、意気込みは変わらなかった。

能町さんは今後、「第2回」イベントの開催も示唆。地名・駅名の専門家が結集し、「キラキラ駅名」増加に一石を投じる流れが広がっていくのか。今後も見ていきたい。【大井義明】