時代劇「水戸黄門」や刑事ドラマ「相棒」などで知られる俳優・原田龍二(49)が最近ハマっているのが、「サイクリング」。先月、愛媛と広島県で開催された「しまなみ・ゆめしまサイクリングフェス2019」にもゲストライダーとして参加した。イベントの休憩ポイントでは喫煙所が設けられ、たばこを楽しむ人々の姿も見られた。今回は自転車とたばこが大好きという原田に、サイクリングとたばこの魅力とマナーの大切さを聞いた。

 ――瀬戸内しまなみ海道をサイクリングした感想は

 原田:今回が2回目です。じっくり季節を味わいながら走るというのは初めて。しまなみ海道を走ってみて、サイクリングするのにすごく適した風土だなぁと思いました。山あり海あり、緑と潮のにおいどちらも感じることができました。しまなみ海道の奥深さを改めて体感した感じです。

 ――サイクリングの魅力は

 原田:イベントのスタート時にも「全裸で走りたい」と言ったんですが、まさに全身で風を味わうことができるということですかね。ウオーキングと決定的に違うのは“風”を感じられること。バイクだと、安全面のこともあって薄着で乗ることはできません。全身で風を感じることができるのが、サイクリングの最大の魅力だと思います。

 ――普段の生活でも自転車を利用しているのか

 原田:ここまで本格的なモノではないですが、息子の自転車を借りたり、ママチャリに乗ったりしています。

 ――自転車に乗る人の共通点は

 原田:サイクリングする人って、心持ちのいい人が多いんです。今回も秋のしまなみ海道を楽しもうという共通の気持ちがあって親近感が持てました。サイクリングのマナーも歩行者や自動車に気をつけて、ルールを守っています。それがあるからサイクリングを楽しめると思うんです。

 ――喫煙もマナーが大切だが

 原田:私は紙巻きたばこも電子たばこも両方吸っています。

 ――喫煙のきっかけは

 原田:昔は不良のステータスの一つとして吸っていた時期もありました。でも今は、文化人のたしなみの一つというか、文化人のたばこの吸い方に憧れています。

 ――最近は禁煙エリアが増えるなど愛煙家には厳しい状況ではあるが…

 原田:たばこの吸い方というのは、人としてのたしなみだと思います。吸わない人のことを思って吸うからこそ、たばこを楽しめるんじゃないでしょうか。

 ――どんな場面でたばこを吸うのか

 原田:たばこは目をつぶって吸ってもおいしくないんです。僕は寒い冬に屋外で吸うのが好きです。雪が積もっているけど、やんでてシーンとした木立の中で吸うのがいいですね。僕はたばこの煙を見るのが好きなんです(笑い)。

 ――たばこの煙のどこが好きなのか

 原田:あの一瞬で消えていくはかなさがたまらなくいいですね。昔から「紫煙をくゆらす」なんて言われていますが、ゆっくりと立ち上る煙の様子を見ていると気持ちが落ち着くんです。

 ――たばこを使った演技などもあるが

 原田:お芝居の中で吸う場合は肉体から出るものに加えて、プラスアルファのものをたばこが表現してくれると思います。今はそういったたばこを使った表現ができる作品がなかなかなくて残念ですね。ちょっとたばこが隅に追いやられている感じがします。みんながもっとマナーを磨き合えば、たばこが存在できる場所が生まれるんじゃないかと思います。

 ――他人のマナーについてはどう思うか

 原田:ポイ捨てとかは、同じ喫煙者として不快ですね。私の家の前が公園で、子供たちが遊ぶ砂場にたばこの吸い殻が捨てられていたことがあって、それを拾うことを日課にしていたときもありました。たばこには嫌われてほしくない。吸う人は、周りのことをよく考えて吸ってほしいですね。

 ――たばこに関するエピソードは

 原田:たばこは、人と人とをつなぐコミュニケーションツールだと思っています。「世界ウルルン滞在記」という番組で、モンゴルに行ったときにたばこに救われたことがありました。現地でしばらく通訳がいなくて、ゲルを訪れた際に、英語も全く通じない中で相手にたばこを勧めたら吸ってくれたんです。2人で無言でたばこを吸ったんですけど、同じものをたしなむということで距離が縮まった気がしました。僕は温泉も大好きなんですが、温泉も裸の付き合いという点で、たばこと共通する点があると思います。

 ――どんな点が似ているのか

 原田:温泉のお風呂場で裸になると、身分や肩書などは通用しない。全裸になれば偉ぶれないんです。たばこも一緒に吸うことで垣根が一つなくなる気がします。また、入浴にもマナーがあって、後に来る人のことを思ってキレイに使うことが大切。たばこも同じで、その場を去るときにきれいにしていくことが大事だと思っています。

 ――これからはどんな役をしてみたい

 原田:ここ数年は、役者という枠にとらわれない仕事をしてきたつもりです。そこをもっと研ぎ澄ましていきたいです。

 ――ゆくゆくは水戸黄門を演じてみたい気持ちはあるのか

 原田:そうですね。当然憧れる役ではありますね(笑い)。