他力本願のナンセンスギャグを次々と繰り出し、遅咲きのブレークを果たしたお笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹(50)が20日、東京・渋谷パルコのギャラリーXで、初エッセー「どのみちぺっこり」(PARCO出版)の発売記念個展(来年1月6日まで)を開いた

「ぺっこり45度」「ぱっくりピスタ~チオ」「よろけたついでに由美かおる」など、独特のギャグで人気の飯尾は「気楽にゴロゴロしながら、また通勤通学の帰り道にでも読んでほしい。何のメッセージ性もないので」と呼びかけつつ「関根勤さんや明石家さんまさんに贈ったけど、まだ電話はない」と、手応えはイマイチの様子。

 続けて「『ヤバイ、ヤバイ、明日、向上委員会だよ』とか、街角を曲がるたびに告白されないかな、病気になるくらいチョコをもらえないかな、親父がトム・クルーズだったらなあ、というオヤジの願望」とギャグの秘訣を明かした。

 出川哲朗と同じく、熱狂的なヤクルトファンだ。

「早大を出て、ドラフト3位でヤクルトに入れないかな。ゴロゴロ~、ゴロゴロ~とやっていたら、父親が『夢で3位なのか。1位じゃないのか』とあきれていた」という。ここら辺の感覚が飯尾独特なのだろう。

 目標は1万部。「印税でお米を買って、ガッチリ台所を固めたい。冷蔵庫がそろそろブーンと不穏なモーター音を立てている。買い換えたい。それと免許がないので免許を取りたい。車に興味はないが、ハイブリッドでスライド式で天井が高いやつ。腰が悪いので」と印税長者を夢見た。

 囲み取材は時間が10分近く余りまくり、担当者が「もっと質問ないですか」と促すほど。飯尾は「ここらへんですみませ~んと止めるんじゃなくて、報道の皆さんに尺を稼いでもらっている」と苦笑い。

 やおら会場に用意された畳に寝転がり「あ~あ、ここに水をかければ吉岡里帆が生えてくれないかな」と、畳にペットボトルの水をかけるギャグで笑いを誘い、時間を稼いだ。

 ただ、飯尾の名誉のために擁護すると、この日は囲み取材だけで、通常の倍にあたる30分を取ってあった。決して飯尾に魅力がなかったわけではない。

 最後に「皆さん、深夜のファミレスで会いましょう。皆さんも原稿の締め切りがあるでしょう? 僕も同じで、追い詰められないとギャグのアイデアが浮かばない」と報道陣に愛想を振りまき、どこまでも腰が低い飯尾だった。