大富豪はかくあるべき――。ユニクロを展開する
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(71)が、京都大学の本庶佑特別教授と山中伸弥教授の研究に総額100億円を寄付するという。
2教授は言わずと知れたノーベル生理学・医学賞の受賞者。新たに設立される「柳井基金」から2030年まで毎年、総額100億円が寄付される。
山中氏が所長を務める京大iPS細胞研究所が進める新型コロナウイルス感染症対策研究に5億円、京都大学iPS細胞研究財団の活動に45億円、本庶氏のがん免疫総合研究センターに50億円が割り当てられる。
3氏が揃って京大で行った24日の会見で柳井氏は「医学で最大の問題はがんやウイルス。両先生の研究は全世界のためになる」と寄付の理由を説明。柳井氏の山口県立宇部高校の先輩にあたる本庶氏が「公的資金とは異なり、寄付は長期間の展望で使える。寄付文化が広がるきっかけになれば」と語り、山中氏は「生涯かけて蓄えてこられたお金を研究費としていただく。重い責任を感じる」と感謝した。
また柳井氏は「本質的な問題課題に対して自由に使える金が必要と思い、微力ながら援助した」とサラリ。いったいどれほどのお金持ちなのかが改めて気になる。財界関係者が「ZOZO創業者の前澤友作氏がこの1年半でお年玉企画などで計23億円を配布したと発表しましたが、寄付の仕方は人それぞれとはいえ、柳井氏は桁が違う」と言うほどだ。
フォーブスの20年版日本長者番付では、柳井氏の保有資産総額は2年連続の日本一(世界41位)で、2兆3870億円。これまでにも東日本大震災で10億円、出身の早稲田大学の国際文学館の改築費用12億円、早大とUCLAが連携する日本文化研究プロジェクトに27・5億円をそれぞれ寄付してきた。
「ユニクロは新型コロナ禍で減収の見込みだが、エアリズムマスクがすぐに売り切れるなど、戦略がうまい。未来の医療研究のために私財を寄付するという姿勢も企業イメージアップにつながるでしょう」と前出の財界関係者はみている。