相棒:20周年で水谷豊&反町隆史に聞く「これまでとこれから」 時代を切り取るスタンスと“年輪”

ドラマ「相棒」に出演する水谷豊さんと反町隆史さん
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ドラマ「相棒」に出演する水谷豊さんと反町隆史さん

 今年20周年を迎えた人気刑事ドラマ「相棒」(テレビ朝日系、水曜午後9時)の新シリーズ「相棒season19」が10月から放送される。おなじみのキャストに加え、美人おかみの小出茉梨を演じる森口瑤子さんが新レギュラーとして出演し、新たな「相棒」ワールドが描かれる。杉下右京役の・水谷豊さんと冠城亘(かぶらぎ・わたる)役の俳優・反町隆史さんが新シーズンや今後について語った。

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 ◇20周年イヤーはVR世界から 裃にタキシードも!?

 記念すべき20周年イヤーを彩る新シリーズの初回スペシャル「プレゼンス」では、特命係の右京と亘が、白バイ警官・出雲麗音(篠原ゆき子さん)が銃撃される事件の真相を追うべく、仮想現実(VR)の世界を捜査する。

 VR未体験だったという水谷さんは「楽しかったですね。僕はあまり詳しくなかったんですけど、やってみるとなかなか楽しかったです。(作中では)事件が起きるので、実際は楽しんでいられないんですけどね。とても新鮮な世界でした。今の時代を切り取っていて『相棒』らしいです」と話す。

 4代目相棒を演じる反町さんは「割と今回は『シチュエーションで見せて展開が……』というより、芝居をどっぷり見せる印象が強いです。相手との重厚な芝居をメインにしています」と解説。また、バーチャルな自由世界という設定を生かし、右京と亘は裃(かみしも)やタキシードを着たといい、「いつもスーツで着慣れているので、新しい感じがしました。そのあたりもぜひ楽しんでほしいです」とアピールした。

 「相棒」でタッグを組んで6シーズン目になる右京と亘。亘は、初登場した「season14」では法務省のキャリア官僚にして警視庁へ出向した身で、右京との距離を感じさせた。水谷さんは「最初は体験で来ているようなもので、“お客さん”でしたから。正式に特命係に入ってから、一気に関係が変わってきましたね。だんだんお互いのことがわかってきましたね」と振り返る。

 一方、反町さんは「『相棒』の撮影は、一年に7カ月あります。7カ月×6年で42カ月。この42カ月の中で、当たり前ですけど家族より長い時間一緒にいる」と笑う。「2014年の1シーズン目はいわば“お客さん”“アウェー感”がありました。2年目で“アウェー感”が外れ、3年目でやっと『相棒』っぽくなってきました。芝居を一緒にやらせていただいてすごいと思うのは、台本で気持ち的、場面的に『これ、ちょっとつじつま合わないな……』というとき、芝居として組み立てていくと違和感やウソっぽい間がある。でも水谷さんは、それをいとも簡単に成立させて、現実的な空間にしてしまう。水谷さんのキャリアはもちろん、20年やっている『相棒』の深い“年輪”を感じます」

 水谷さんは「現代社会を切り取り、今起きている事件、今起こりそうな事件を扱うのが『相棒』。まさに今を生きているようなところがある。続けるかぎりは、今をずっと生きていくだろうなと思っています」と話し、「悪いことをする側の役がいつも面白い。今回も面白かったです。右京を演じていなかったら、僕も『相棒』で悪役やってみたいですね」とほほ笑んだ。

 ◇“現相棒”反町隆史のやってみたいこと

 2020年、新型コロナウイルスの影響で、芸能界はドラマや映画の撮影が一時ストップした。水谷さんも「時代劇(の撮影)を終えて3月末に京都から帰ってきて、それから2カ月半、家から出なかったです。(役者として)『これからどういうことに向かっていったらいいんだろう』といろんなことを考える時間が十分にありました。そういう意味では大変だったけど有意義でした」と話す。反町さんも「家族でずっと一緒にいました。一緒に遊んだり映画を見たり、普段できないことをやりましたね。『相棒』に入ってしまうと、どうしても7カ月、(時間が)ズレたりするので、そのあたりはすごく良かったです」と振り返った。

 今年の「相棒」の撮影に関して、水谷さんは「今、全キャスト・スタッフが毎日検温など感染・拡大予防対策を万全に行ったうえで撮影をしています。(撮影開始時に)皆が陰性だと分かって撮影に入ったのですが、いざ芝居が始まると、全部忘れるんです。いつもと同じ。『相棒』ワールドに没頭しています。違うのは、(撮影が)終わるとスタッフがフェースガードを持って駆け寄ってくること(笑い)。違いはそれだけです」と明かした。

 本作でやってみたいことを問うと、反町さんは「『相棒』は(右京のパートナーが)何代もいらっしゃる。一度、全員と絡めたものを一つの作品でやってほしい気持ちはあります。2代目の相棒を演じた及川光博さん(神戸尊役)とか、それぞれキャラクターがありますからね。その中にいる杉下右京、水谷豊さんをちょっと見てみたいです」と願望をのぞかせた。

 ◇杉下右京役「死ぬ前にはやめたいね(笑い)」

 現在、水谷さんは68歳。20年以上同じ役を演じる主演俳優は、「男はつらいよ」シリーズで“寅さん”こと車寅次郎を約27年間(ドラマ含む)演じた故・渥美清さん、「釣りバカ日誌」シリーズで“浜ちゃん”こと浜崎伝助を約21年間演じた西田敏行さんなど指折り数える程度。右京を20年演じる水谷さんも、常人の想像の域を超えた存在だ。

 「渥美さんは27年ですか。映画の場合は一年に1、2本撮影。これを20年以上続けるのもすごいですね。僕が毎年(『相棒』に)7カ月関わって20年続けたのは、客観的に考えると……正直、20年やった実感がないです。大変だったとかそういう感覚もありません。でも客観的に見ると、両方大変ですね」

 プライベートで右京と自身の人格を混同することは「ない」と断言するも、「町を歩いているときに『あ、右京さん!』と声かけられると、自然にちょっと右京入れちゃいますね(笑い)。あまり期待を裏切ったらいけませんから」とおちゃめな一面を明かした。

 視聴者から求められるなら、死ぬまで右京を演じる覚悟なのか。「死ぬ前にはやめたいね(笑い)。(この状況は)とても不思議ですよね。自分がいくら望んでも、そうそうできることではないですし。ただ無理に考えなくても、そういうときはいつかちゃんと自然に来ると思いながらやっています。いつまで、というのはまったく決めていないです」と自然体を強調。水谷さんと反町さんの良き「相棒」は、今年もまた事件解決にひた走る。(取材・文・撮影:桜井恒ニ)

 ※スタイリスト:斎藤真喜子(水谷豊担当) 二村毅(hannah)(反町隆史担当) ヘアメーク:WEST FURIE 浅見順子

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