宝塚歌劇出身の麻実れい(70)が旭日小綬章を受章した。宝塚でデビューしてから今年で舞台生活50年。先日の会見で「舞台人としての日々の活動を見ていただけたことに感謝します。受章は私にとって心の中に大きな力、勇気をいただけるもの」と話した。

過去に数々の演劇賞を受賞し、紫綬褒章も受章しているが、50年という節目の年の受章は喜びもひとしおだった。さらに、今年はコロナ禍で公演の中止も経験した。「自粛中は部屋の片付けとかしていたけれど、舞台人として不安な気持ちが募りました。このままだと、気力も体力も失うんじゃないか」と思ったという。そんな時に舞い込んだのが、10月の「班女」の舞台出演だった。「自分にとって舞台は大切な場所と確認できた。『班女』がなかったら、本当につぶれていたかもしれない」という。

宝塚退団後、帝劇でミュージカル「シカゴ」に出演したが、プロデューサーが出演依頼に訪れた時、麻実は「考えさせてください」と即答しなかった。プロデューサーは帰り際に「こういう役をやらないと、何もできませんよ」と捨てぜりふを吐いたという。それに発奮して出演を決めたが、「そのプロデューサーは今、演劇評論家をしています」と、懐かしそうに振り返った。

自らを「不器用だけど、責任感はすごい」と分析する麻実は、「私がいて失敗することが許せないんです。だから、ここまで来られた。これからも、何をやりたいというよりは、与えられた役を怖がらずにやっていきたい」。失敗しない女優、麻実のプライドが見えた。