初の海外メジャーへ。国内女子ゴルフの「伊藤園レディス」最終日(15日、千葉・グレートアイランドC=パー72)、首位から出た古江彩佳(20)が70をマーク、通算12アンダーで並んだ酒井美紀(29=国際スポーツ振興協会)とのプレーオフを3ホール目で制し、今季2勝目を挙げた。ミレニアム世代の出世頭は12月10日開幕の「全米女子オープン」(テキサス州)に出場予定。準備も着々と進めている。

 昨年のアマチュア優勝は3日間の最後のホールが唯一のボギー、9月のプロ初優勝はノーボギー。そして、今大会も最終日の1番が唯一のボギーと、古江が抜群の安定感で優勝にたどり着いた。また、プレーオフは2連勝。18番パー4はグリーン左に池が広がり、54ホール目としてプレーした時と同じ左サイドのピンは「選手同士、お互いに攻めたいけど、攻め切れない感じがありました」。

 それでも、3ホール目でピン位置がセンターに変更されると、もう少しでイーグルのスーパーショットで勝負を決めた。この優勝で賞金ランキング4位に浮上。「ずっと目標にしてきた賞金女王をいつかは取りたいと思っているんですけど、今は1試合、1試合を頑張ることだけ考えています」

 コロナ禍で多くの試合が中止となったため、来年までが一つのシーズン。今季の賞金女王争いは来年末まで続く、先の長い戦いとなっている。

 一方、初めての海外メジャーまでは1か月を切った。「もし出られたら全部経験だと思って頑張りたいです」。主催の全米ゴルフ協会(USGA)が正式発表していないため遠慮がちに話したが、選手への出場権獲得の連絡はすでに行われている。

 古江も準備を進めており、キャディーはナショナルチーム(アマ日本代表)時代のチームメートで同い年の佐渡山理莉(20)に「お願いしました」。佐渡山は昨年の最終プロテストで不合格。今季は中国ツアーを主戦場にプロ転向したが、コロナ禍でまだ同ツアーには出場できてない。現在の置かれた立場は大きく異なるが、同じ目標を持つ仲間とのタッグで初めての大舞台に挑む。

 世界ランクも今大会前の42位から30位前後に浮上する見込み。「全米女子オープン」で活躍すれば、渋野日向子(15位)、鈴木愛(17位)の東京五輪代表2枠目の争いに割って入る可能性もある。「五輪に出られたらうれしいですけど、そこは全然、頭に入っていないので、目の前の試合を頑張るだけです」。五輪については全くの無欲だが、年をまたぐ長いシーズンを盛り上げる主役の一人になったことは間違いない。