歌舞伎俳優中村勘九郎(39)が16日、都内で「十二月大歌舞伎」(12月1~26日、東京・歌舞伎座)の取材会を行った。共演する市川猿之助(44)から「うれしいDEATH」というLINEが届いたと笑顔で話し、公演に弾みをつけた。

「DEATH」は、猿之助が出演したTBSドラマ「半沢直樹」のパワーワード。大和田常務役の香川照之が、敵対する半沢直樹に「君はもうおしまいです。お・し・ま・い、DEATH!」と挑発し、名場面として話題を集めた。人気ドラマの当事者から届いたちゃめっ気のあるLINEに、勘九郎は「普段でも使っているんだと、うれしかった」と喜んだ。

勘九郎が出演する「傾城反魂香」は、夫婦の愛を描く近松門左衛門の人気演目。勘九郎が夫の又平、猿之助が妻のおとくを演じる。

この演目で2人が夫婦役を演じるのは12年ぶり。勘九郎は「猿之助さんの手のぬくもりや、夫へのまなざしなど、すべてがおとくで、毎日楽しかったのを覚えています」。また「前回は勘太郎、亀治郎時代でしたが、お互い名前が変わって、勘九郎、猿之助となって12年ぶりに歌舞伎座で夫婦役を演じられることをうれしく思っています」。

物語について「夫婦の愛が奇跡を起こす話。障害や壁にぶつかった者がそれを乗り越え、その先に明るい未来が待っているという、今の日本、世界を表しているような作品です」。歌舞伎座は現在も50%の客席で公演中。8月の再会以来、客席から1人も感染者を出していないことを「誇らしい」とし、「ぜひ奇跡を目にとめに来ていただけたら」と話した。