歌手倖田来未(38)がデビュー20周年記念日にあたる6日、代々木第1体育館で、アリーナツアー「KODA KUMI 20th ANNIVERSARY TOUR 2020 MY NAME IS...」ファイナル公演を行った。

コロナ禍以降では、日本のアーティスト初となったアリーナツアーを走りきった。09年5月以来、約11年6カ月ぶりとなる同所での単独ライブは、00年のデビュー曲「TAKEBACK」のアカペラで幕を開けた。銀色のセクシーな衣装の倖田が「みんな~!まだまだ盛り上がっていくよ~!」と指を指してあおると、観客はペンライトを振り応じた。人生の分岐点だったと話す、中盤に披露した「MoonCrying」では、大粒の涙を流した。

感染者数が増え続けるなか「(開催できるか)本当にギリギリまで悩んできた」。それでも、20周年記念日にステージに立ち「なかなかその日にドンピシャで歌うっていうのは、歌いたくてもできない。いろんな軌跡だったり、ファンの皆さんの思いが重なって、実現したと思います。夢のようでした。最高の誕生日プレゼントをいただきました」と感謝した。

自粛期間、太らないように新たにストレッチを取り入れる中「音楽を作りたいっていう、この一心がすごく強かった」。動員人数を減らすために1日2公演行ったが、「正直体力が…(笑い)。もうそろそろ筋トレをやらないとツアーがきつくなるのかな」と笑い飛ばした。この日も、足をつりながらステージを後にしたという。

今ツアーは、同時配信も行ったが「ライブって、お客さんの声援が合わさってライブになる。ナマに勝るものはないと思っている」と言い切った。世の中が新しい生活様式に移行していく中、「今までと同じことをしてもあかんねんやろなあって、すごく考えさせられた」とも話した。

今後について「12年後もバリバリに踊り倒している倖田来未がいたら、それはそれでかっこいいだろうなあって思う。今の日本にはないエンターテインメントを、女性として表現していきたい」と語った。

ライブでは、ヒット曲「realEmotion」「Butterfly」をはじめ、初披露の「I'mLovin'」など全33曲を歌唱。密をつくらないよう、大がかりな演出を避け、歌とダンスで観客を魅了した。

新型コロナ感染対策に重きを置き、同所では1公演で、収容可能人数の半分以下の5000人を動員した。ツアーは4会場で、8公演行われ、合計で4万4000人を動員した。

倖田が「1日でも早く収束して、各アーティストも、できるような時代が早く来てほしい。良い意味で、今回が皆さんのヒントになれば」と、願いを込めたツアーが幕を閉じた。【佐藤勝亮】