女優の浅香光代さんが亡くなったことが14日、分かった。92歳。17年12月に浅香さんが野村沙知代さんとの確執から批判合戦に発展した「ミッチー・サッチー騒動」について語っていた。

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タレント野村沙知代さん(享年85)が亡くなった8日、かつてバトルを繰り広げた相手の浅香光代(89)が都内で、取材に応じた。99年、2人の確執から批判合戦に発展した「ミッチー・サッチー騒動」はワイドショーを中心にして、一世を風靡(ふうび)した。訃報に接した浅香だが、激しい舌戦を展開した相手が亡くなった実感はなかった。

浅香は一呼吸置いてから、せきを切ったように話し続けた。「ガラッと戸を開けて『うまいものがあるから食べに行こう』といまだに来るような気がする。また、断り切れないのかなと思っちゃう。毒気も強いし、インパクトも強いでしょ。死んだ感じがしない」。

浅香が沙知代さんに出会ったのは「ミッチー・サッチー騒動」が勃発する2年前の97年。あるパーティーで知り合った。事実婚の相手、世志凡太と野村克也氏は当時大親友。2人から沙知代さんと仲良くしてほしいと頼まれ、沙知代さんを劇場や稽古場に招待。その後、沙知代さんが稽古場を訪れるようになった。

「『おいしい物を食べに行こう』『あれ買って』とか、なかなかしっかりしている。とにかく人をおだてるのがうまい。『20代に見える』とか、そんなわけがないのに。いつも向こうが上手で、調子が狂っちゃう。でも、顔出ししてくれるのって、うれしいじゃない。1人より、何人かでご飯を食べた方がおいしいし」。バトルに発展するまでを懐かしそうに振り返った。

「先生」「沙知代さん」と呼ぶ仲だったが、確執が騒動に発展。浅香は最近まで、沙知代さんとは「2度と会いたくない」と公言していた。今、沙知代さんに会いたいか聞かれると「思いません。同じことを繰り返すのが嫌だから」と断言しながらも、沙知代さんの訃報に接し、さすがに気持ちに変化が生じていた。「もう(沙知代さんは)許されちゃってる。しょうがないでしょ」。騒動から18年。「昨日、今日のような気がする。何でこうなっちゃったんだろう。(マスコミに)追われるし」としながらも「(沙知代さんは自分を)嫌いにさせないのよね」とポツリと言った。

葬儀参列は「ご遠慮します。もう縁切りしてるから」としない意向。「ご冥福をお祈りします。あの世に行っても、みんなに嫌われないようにやってほしい」。かつてのバトル相手だけに、毒気を交ぜつつも、少しさびしそうに故人をしのんだ。

◆ミッチー・サッチー騒動 2人は98年6月に舞台共演。99年3月に浅香が「けいこに平気で6時間遅れてくる」「『あなたとは人種が違う』と演劇活動を軽んじられた」などと沙知代さんを批判したのがきっかけ。沙知代さんが「売名行為よ」と反撃すると、故十勝花子さん、渡部絵美らが浅香に加勢した。

(17年12月9日紙面より)

※年齢など当時のまま