俳優の長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)第37回「信長公と蘭奢待(らんじゃたい)」が12月20日に放送された。同回では、将軍・義昭(滝藤賢一さん)が織田軍に捕らえられたことで、投降することを選んだ幕臣・三淵(谷原章介さん)が、信長(染谷将太さん)方についた弟の藤孝(眞島秀和さん)と苦しい再会を果たすシーンがあった。
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藤孝に「裏切り者に成り果てたか?」と珍しく声を荒げる三淵。そこで藤孝はひときわ冷静に「政を行うには、時の流れを見ることが肝要」と返すと、三淵の目から涙が……。
三淵役の谷原さんは「本当は涙は流したくありませんでした。テストでも流れそうになったので、演出家の方と『流したくないね』と話していました」と振り返る。三淵の胸の中にあったのは「義を捨て、自己保身に走り時代に迎合した藤孝への思いは弟なだけに怒りと悔しさしかありません。胸にあったのは将軍家への申し訳なさ、身内が裏切ったことに対する無念さです」と明かすと、「そんな弟の前で涙など絶対に見せたくないと思ってました。ただこらえればこらえるほど思いがあふれ涙となってしまいました。床に打ちつけた拳は数日の間痛みが残りました」と明かした。
また、三淵は義昭との幕府再興を「最初から諦めていたわけではありません」といい、「守りきれなかった義輝様(向井理さん)への無念、そのために義昭様を推戴して幕府の再興への希望を持った時期はあると思います。義昭様の将軍としての素養、摂津(片岡鶴太郎さん)をはじめとする幕府の旧態然とした幕閣、そして信長をはじめとする新しい勢力の台頭を見て、時代が確実に移り変わっていくことは分かっていました」とも谷原さんは語る。
ただ、「三渕は自分の保身のために義を捨てることはできなかった。幕府が滅びていくのが天命なのであればそれに殉じようという思いはだんだんと強くなっていきました。足利将軍家以外に仕えるつもりはなかったのだと思います。三淵は足利家とともに滅びようと覚悟を決めたのです」と結論づけた。
「麒麟がくる」は59作目の大河ドラマ。1991年放送の「太平記」などで知られる池端俊策さんのオリジナル作。ドラマでは謎めいた明智光秀の前半生にも光を当て、戦国の英傑たちの運命も描く。
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