【石原結實 病気を吹き飛ばす食図鑑】東南アジア~中国~日本原産のユリ科の多年草。

 ニラは「陽起草」と言われるほど、生長力と生命力の強い野菜で、ニラを食べると、その人の生命力をも強くする。

「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」の葷とは、臭いの強い野菜のことで、ニラ、ニンニク、ネギ、ヒル、ラッキョウは五葷と言われ、「強壮・強精作用が強すぎるために修業中の僧侶には食べさせたらいけない」という意味が込められている。

「本草綱目」には「根・葉を煮て食えば、中(胃腸)を温め、気を下し、虚を補い、腸を益し、臓腑を調和して食をよくし、腹中の冷痛するのを止める」とあるように、ニラは体を温め、胃腸の働きをよくし、強壮・強精作用を発揮する。

 こうした作用は、多量に含まれるビタミンB1やB2、硫化アリルなどに負うところが大である。

 漢方医学では「万病一元、血液の汚れから生ず」と、2000年前から言われている。食べ過ぎ、肉食過剰などで血液が汚れる(汚血)と、血液の流れが悪くなり(おけつ)、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、生理不順、生理痛、吐血、喀血、下血、鼻血、脳溢血(出血、梗塞)、心筋梗塞を起こしやすくなる。ニラには「駆おけつ(血液の流れをよくして血液を浄化する)作用がある」と、漢方医学では言われている。「おけつ」の症状のある人はジューサーでしぼった生汁を1日おちょこ1~2杯、毎日飲まれるとよい。

 ニラの卵とじやニラレバ炒めなどは、強壮・強精作用の強力なニラ、卵、レバーが組み合わさっており、疲労回復、虚弱体質の改善、貧血、低血圧などに奏効する。風邪を引いたら「茶碗に刻んだニラと醤油を適量入れ、熱湯を加えて熱いうちに飲む」と体が温まり、治りが早くなる。

 ◆石原結實(いしはら・ゆうみ)1948年、長崎市生まれ。医学博士。イシハラクリニック院長として漢方薬と自然療法によるユニークな治療法を実践するかたわら、静岡・伊豆でニンジンジュース断食施設の運営を行う。著書は300冊超でベストセラー多数。最新作は「水分の摂りすぎが病気をつくる 日本人が知らない『水毒』の恐怖!」(ビジネス社)。