国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が10日、亜熱帯の森に貴重な動植物が生息する「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」(鹿児島、沖縄)を世界自然遺産に登録するように勧告した。

 これに関連して本紙は奄美大島、徳之島に生息する「妖怪ケンムン」への影響を報じた。ケンムンは、姿はカッパに近く、ガジュマルという木をすみかにしている妖怪で、人と相撲を取ることが好き。江戸時代の文献に名前があるほど歴史は古い。実際に奄美大島では2010年、ケンムンの足跡が20年ぶりに目撃されていた。

 そんななか、鹿児島・徳之島に伝わる貴重な“ケンムン目撃情報”を入手した。

 奄美大島から南西に位置する徳之島でも「最近ではほとんど目撃されなくなったよ」と現地住民は言う。だが「戦後から1960年代にかけては、よくケンムンが目撃されていた。自分の祖母から、よく話を聞かされていた」。

 妖怪ケンムンは単体で行動するといわれるが、実際には「祖母の話によると、サトウキビ畑に行列で歩いていく姿が目撃されていた。ケンムンと目が合うと、意識が遠くなって気絶した感じに陥る。とはいえ、体に危害を加えられるということではない。そっとしていれば、大丈夫だそう」と同住民は明かした。

 ほかにも水辺で水浴びをするケンムンなどが目撃されているが、目撃者は同じように気絶状態になっていたとか。「ハブも怖いけど、ケンムンも同じように怖い。何をされるか分からんからね」(同住民)と、恐れられているというのだ。
 
 現代に残された最後の“遺産ミステリー”かもしれない。