吉永小百合(76)の122本目の映画として21日に封切られた主演映画「いのちの停車場」(成島出監督)が、公開初週の興行収入(興収)動員ともに1位となった。製作、配給の東映が24日、発表した。興収は1億7968万1920円、動員16万1132人を記録。週末22、23日は興収1億4844万7440円、動員13万4643人を記録した。

3度目となる緊急事態宣言が発出され、東京、大阪など自治体から休業要請があった一部地域では、映画館の休業が続いており、全国で上映が出来ていない。そうした厳しい状況の中、「名探偵コナン 緋色の弾丸」「るろうに剣心 最終章 The Final」「地獄の花園」を抑え、実写、アニメを通じて興収、動員ともにトップに躍り出た。

吉永は22日に東京・丸の内TOEIで行われ、全国259館に配信された公開記念舞台あいさつの壇上で「演劇は大丈夫だけど、映画はダメとうかがって大変ショックを受けましたし悲しかった。くじけそうになった」と発言。12日以降、劇場や演芸場は人数上限5000人かつ収容率50%、午後9時までの条件で休業要請が解かれたのに対し、映画館は休業要請が続く東京都独自の休業要請に疑問を呈した。「きっと…きっと、日本中の皆さんに、映画をご覧頂けると思っております」と願った声が、数字となって表れた格好だ。

吉永は劇中で、大学病院の救命救急医だったが、とある事情で石川県の実家へ戻り、在宅医療を行う「まほろば診療所」に勤務する白石咲和子を演じた。また、咲和子の背中を追い、診療所で働く元大学病院事務員・野呂聖二を松坂桃李(32)、診療所を支え続けてきた訪問看護師の星野麻世を広瀬すず(22)が演じた。従来の吉永のファン層に加え、コロナ禍の世相の中、医療や生きることをテーマにした作品性もあり30、40代、そして松坂や広瀬が目当ての若年層と、幅広い層の客層を取り込んでいるという。