俳優の吉沢亮さん主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)は、7月11日放送の第22回「篤太夫、パリへ」から、物語の舞台が1867年の仏パリに移る。渋沢篤太夫(栄一、吉沢さん)らパリ万国博覧会の使節団は、蒸気機関やエレベーターなど最先端の西洋技術を目の前にして度肝を抜かれる。そして、徳川昭武(板垣李光人さん)がナポレオン三世の謁見式に出席する……という展開だ。そんな“パリ編”の放送を前に、演出担当の田中健二さんが、ストリートビューでのロケハンなど、撮影についてや見どころを語った。
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パリ編の撮影は当初、現地でのロケを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で断念した。
田中さんは「去年の10月くらいまでは行けたら行きたいという話だったのですが、10月の終わりにフランスで1日あたり5万人の感染者が出てしまい、11月いっぱいまでのロックダウンが発表されて、11月の頭にはパリには行かないでパリ編を作る決断をしました」といい、日本人のキャストが出演するシーンと、現地のキャストが出演するシーンに、VFX(視覚効果技術)を加えて1867年のパリを再現することを決めた。
完成した“パリ編”について、田中さんは「1867年のパリは映像には残っておらず、絵とか写真でうかがい知るだけなのですが、当時のパリを現代の技術で、あたかもその場にいるかのように再現されているところが見どころです」と、その出来に胸を張る。
今回、遠く離れた地に直接足を運ばずとも、ストリートビューでロケハンできるという“発見”が効果を発揮。大きな見どころとなるナポレオン三世との謁見シーンは、ある絵画をモチーフに作り上げられた。
「実際に昭武がナポレオン三世と謁見したテュイルリー宮殿はすでに焼失してのですが、(それとは別に)同じ時期にナポレオン三世と(日本人使節団が)フォンテーヌブロー宮殿で謁見している絵が残っていて。ストリートビューで絵の舞台となっている宮殿の広間を見たときに、この絵そのものが撮れるな、と思いました」と明かす田中さん。
現地のプロダクションに依頼し、フォンテーヌブロー宮殿の広間で撮影された映像に、グリーンバックを使って日本人キャストらをはめ込む作業は、“センチメートル単位”の難しさだったというが、「ステキなシーンになりました」とアピールした。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、朝ドラ「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
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