パイレーツの筒香嘉智外野手(29)が打ちまくっている。29日(日本時間30日)の本拠地カージナルス戦では「6番・右翼」でスタメン出場し、メジャー2年目で初となる逆転サヨナラ3ラン。ここまでパ軍での成績は13試合で27打数9安打、打率3割3分3厘、5本塁打、11打点と大暴れだ。

 今月14日(同15日)にドジャース傘下3Aから解雇され、2日後にパ軍とメジャー契約を結んだばかり。一体何があったのか。MLBスカウトの1人は「パイレーツ移籍はベストの条件とタイミングがすべて重なった」と評し、まず筒香がド軍を解雇される直前に実は「弱点」を克服しつつあった点を指摘した。

 ド軍傘下3Aでは今季43試合に出場。当初は低空飛行だったものの7月7日にメジャー出場の前提となる40人枠から外れて以降は調子を上げ、打率2割5分7厘、10本塁打、32打点の成績を残していた。かねて筒香はMLBで「速球系にアジャスト(順応)できない」と言われていたが、ド軍のプログラミングと本人の努力が実を結び、それが数字にも表れかけていた。

「だが、ロースター40人枠の層の厚いドジャースでのメジャー再昇格は、どう頑張っても厳しい。そんな球団事情からドジャースを解雇となったところで即座にオファーを出したのがパイレーツだったことも、筒香にとっては大きかった。パイレーツはMLBで総年俸が最下位の球団であり、ローリスクハイリターンの運営だが、その運営システムは有識者の間で評価されている。他球団で不要とされた選手の再生や、スカウティングリポートにも上がらないような選手の発掘および育成を得意とするなど独自性で、MLBのGM陣の中でも評価が高い。ベン・チェリントンGMは『パイレーツには、どのような選手が来ても満足にプレーできる環境が整っている』と豪語しているほど。筒香にとってピッツバーグは最高の地かもしれない」(前出のスカウト)

 デレク・シェルトン監督も筒香の獲得理由について「マイナーリーグで打撃の成長が見られた。われわれは彼をチェックし続け、チャンスを与えれば間違いなく打つと判断した」と述べ「それは間違っていなかった」と続けている。

〝水を得た魚〟のようにヨシ・ツツゴウは今後も新天地のグラウンドで躍動しそうだ。