古都京都で47年間営業を続けている老舗ライブハウスのコロナ禍における1年半を振り返るフジテレビのドキュメンタリー番組「磔磔(たくたく) ライブハウスとコロナの500日」が28日深夜1時半から、関東ローカルで放送される。

「磔磔」は築100年を超える木造の蔵を改造した建物で、一見ではライブハウスには見えない。ここでは70年代から現在に至るまで、国内外の数々のミュージシャンたちが演奏をして、多くの「伝説」を生んできた。

昨年8月、フジテレビではドキュメンタリー番組「磔磔(たくたく)というライブハウスの話」を放送した。「磔磔」の50年近い歴史を紹介しつつ、日本のロックシーンの変遷とともにひもといていった。店主を続けてきた水島博範さん、現在は店長を務める息子の水島浩司さんという親子の姿を通じて「ライブハウスの魅力とは何か」を問いただした。小泉今日子がオープニングとエンディングのナレーションを担当して、大きな反響を呼んだ。

今回は「磔磔」が見舞われた、新型コロナウイルスとの1年半を追った現在進行形のドキュメンタリー。コロナ禍で休業自粛を余儀なくされた昨年の4、5月。すべてがシャットダウンされてしまった苦境を経て、昨年の夏には感染状況は一時的に小康状態へ。番組スタッフは最小限の人数で約1カ月に1度の割合で京都に足を運び取材を続けてきた。そこにあったのは、先行きが見えない中でも何とか「ライブ」を続け、「ライブ」という表現について考え続けている人たちの演奏と生の言葉だった。

この夏、変異型ウイルスの出現で、今なお東京、京都を含め全国各地で緊急事態宣言が発令中だ。当然ながらライブハウスの営業も制限され、演奏する側も見る側も感染対策を徹底した状態でのライブが続いている。

今回は「磔磔」2代目店主・水島さんの目線を軸に、未曽有の新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され続けたこの1年半を時系列で振り返る。無観客配信ライブ、有観客ライブなど、この500日で「磔磔」で行われた多くのミュージシャンたちの「ライブ演奏」を届ける。

今回もナレーションを担当する小泉は「ライブハウスもいまだになかなか厳しい状況だと思います。私自身も、新型コロナウイルスの影響がこんなに長く続くとは思っていなかったです。ライブハウスという場所には、見る側の人、ステージに立つ側の人、いろんな人の思いがすごく詰まっています。それは、すごいエネルギーだと思うんです。だけど、この『磔磔』のドキュメント番組では、コロナ禍でいったん、背負っているものから解放されたというか、以前とは違う何かを求めたようなみなさんの姿が、すごく純粋で美しくも見えたんです。大変な時代だけど、新しい発見もやっぱりあるんだと感じた瞬間もたくさんあったし、私もまた前に進みたくなりました」と話している。

関西テレビでは10月9日深夜2時15分から関西ローカルで放送予定。