宝塚歌劇の星組公演「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」が18日、兵庫・宝塚大劇場で初日を迎える。トップ礼真琴が前作「ロミオとジュリエット」の純真な青年から一転、隻眼の剣豪・柳生十兵衛役。ショーでは宝塚伝統の王道作で、真矢みき(当時)湖月わたるらが主演した「ダンディズム」シリーズ第3弾でセンターに立つ。日刊スポーツでは9月14日付で礼のインタビューを掲載したが、あふれた言葉を紹介する。兵庫・宝塚大劇場は11月1日まで、東京宝塚劇場は11月20日~12月26日。

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-最初に、柳生十兵衛を演じると決まった時の感想は

隻眼の剣士という印象しかなかったので、深く彼の人生について掘り下げ、調べ…いや、男らしくて、かっこよくて、「日本人魂」が渦巻いている印象です。

-作中、敵討ちを誓う女性を悲願達成へ導く指南役も負う。組を率いるトップとしての立場も重なる

そうですね、今回、みんなに「先生」と呼ばれるんですよ。なので、トップとはまた違うんですけど、先生と初めて呼ばれる気持ちよさ、感じております。

-左目を隠しての殺陣。右目だけでも、ポスターから目ヂカラが伝わる

より、見えている方への力の入り具合というか、それはカメラマンとも相談しましたし、自分でも何度も確認しながら、角度、目線の力の入れ方は試行錯誤したと思います。実際、ポスター見て? おお~って感じです。舞台でもしっかりやらなきゃなって! 

-ヒロインのトップ娘役舞空瞳との関係性も新しい形に

原作では、最後にしか出てこない「ゆら」という役ですが、宝塚バージョンは最初から。まったく女っ気がなくて(笑い)。宝塚バージョンで、思いをより深く出せたらなという感じではあります。

-ショーは、ロマンチック・レビューシリーズの岡田敬二氏による「ダンディズム」シリーズの第3弾。宝塚伝統を継ぐ内容に

最近は、アップテンポで現代の魅力の詰まった場面とかもたくさんあるんですけども、あえてゆっくり動くところで見せる余裕、動かずとも見せられるダンディズム、みたいなものを求められています。曲を聴いただけで壮大で、大地を感じる爽やかな、体力勝負になるだろうなっていう場面もあるので、楽しみです。

-今作で、2番手スター愛月ひかるが退団する。愛月によると、退団の決意を伝えた際、涙したと

話を聞いたときは…うーん、そうですね。やっぱり、上級生(愛月が2年先輩)なんですけど、この私をサポートしてくださって、気を使ってくださって、ほんとに支えてくださって。私が言うのもなんなんですけども、愛さんと舞台に立っている時って、すごく心地よくて空気感がすごく好きだったので、苦しいなとは思いますけれども。でも、専科の愛さんとご一緒させていただいて、そしてまた星組に来ていただいて、短い時間だったんですけど、すごく濃い時間を過ごさせていただいて。自分がその愛さんの最後、ご一緒させていただけるのは幸せ。でも、一番は寂しい気持ちの方が大きかったです。

-礼のリーダーシップ、統率力への比重はさらに高まる

ドキッ(笑い)。どれだけ上級生の皆様の力に助けていただいていたか、毎公演感じますけども、でも同じぐらい下級生のパワーもすごくって、上級生の皆さんが卒業されていくほど、下級生も1人1人責任をもって、力を出さなきゃって思ってくれているのを感じているので、時代の移り変わりじゃないですけど、これが宝塚なのかなって、私はこれを、このポジションにいて感じています。

-花組トップの柚香光に加えて、月組新トップに就いた月城かなとも同じ95期

それはもう、ほんと、感慨深いですよ。何度も言いますけど、ほんとに「どんぐりの背比べ」と言われ続けて育ってきた我々ですから、みな、それぞれ刺激し合って、お互いの舞台見て盗み合って、ここまできたのかなと思いますし。他組でも同期の活躍とか見ると誇らしいですし。

-コロナ禍での上演は続く

千秋楽まで駆け抜けられること、自分たちもできるかぎりの最善を尽くして取り組みたいですし、1人でも多くのお客様にご覧いただきたい。でも、やっぱりこの状況で、劇場までこられないお客様がたくさんいらっしゃる中で、ライブ配信、映像を通して「元気に」「幸せになって」って言うのは簡単ですけど…。でも、そこまでではなくても、ここまでやってみようかな? とか、もうちょっと頑張ってみようかな? という、前へ踏み出す1歩の手助けになりたいなという思いでこの1年やってますので、最後まで駆け抜けたいなと思います。

(取材・構成=村上久美子)