押井守監督:「攻殻機動隊」は実は「アナログだらけ」 デジタルっぽく見えるように

「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の4Kリマスター版のIMAX上映を記念した舞台あいさつに登場した若林和弘さん(左)と押井守監督
1 / 1
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の4Kリマスター版のIMAX上映を記念した舞台あいさつに登場した若林和弘さん(左)と押井守監督

 1995年に公開された劇場版アニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」(押井守監督)の4Kリマスター版のIMAX上映を記念した舞台あいさつが9月18日、TOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)で開催され、押井監督、音響監督の若林和弘さんが登場。音響制作の裏側を語った。

ウナギノボリ

 同作は、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)とソニーのデジタル・マルチトラック・レコーダーPCM3348を併用して録音された。押井監督は「スタッフがデジタルでやりたい!と言い出した。昔のMac(マック)って(エラーで)爆弾が出まくるんですよ。信用できないことが分かっていたので、バックアップでマルチ(PCM3348)を使った。せりふはマルチで立体的に録(と)った。新しいことをやるきっかけになった。絵も編集もそうだけど、音響も最新のシステムでやろうと周りが盛り上がっていた。私は信用できないと半信半疑だった。爆弾に悩まされた。そのたびに再起動した」と振り返った。

 デジタルならではの表現も話題になったが、押井監督は「当時のパソコンはとにかく重かった。実はCGとデジタル合成は50、60カット。全体の1割もない。CGっぽいけど、実はビデオのエフェクトなんです。光学迷彩も時間がかかって、作画するのと変わらなかった。デジタルという手段じゃなくて、デジタルという目的で作った。デジタルっぽく見えるようにアナログで作った。アナログだらけ」と話した。

 収録では「空間」を意識したという。押井監督は「変なアフレコだったよね」と振り返り、若林さんは「(草薙素子役の)田中敦子さんにプラスチックのバケツに顔を突っ込んでもらって、しゃべらせて、ダメだな!となったり」と明かした。

 「攻殻機動隊」は、近未来の電脳化社会を舞台に、架空の公安組織の活躍を描いた士郎正宗さんのマンガで、1989年から展開されている人気シリーズ。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」は、草薙素子ら公安9課(攻殻機動隊)が国際手配中のハッカー、通称・人形使いを追うことになる。

アニメ 最新記事