米老舗スポーツ誌のスポーツ・イラストレーテッド(電子版)は20日(日本時間21日)に「ア・リーグMVPの選択肢はひとつだけ」と題した記事を掲載した。エンゼルスの大谷翔平投手(27)が今季いかに驚異的な成績を投打や走塁で残しているかを17項目紹介し、二刀流のMVP獲得を確実とした。

 大谷の対抗馬はブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手(22)。チームをプレーオフ出場へ向けてけん引し、19日(同20日)時点で打率(3割2分1厘)、本塁打(46)、得点(119)、出塁率(4割1分1厘)、長打率(6割1分7厘)でア・リーグ1位。さらに打点は8打点差で4位。3冠王の可能性もあるが、仮に獲得としたとしても同誌は大谷のMVPは揺るぎないと次のように力説する。

「相手チームが大谷にストライクを投げなくなり、ゲレロがホットになった。ゲレロは非常に素晴らしいが、大谷はトロントの一塁手が匹敵できない何かを持っている。それは前例のない偉大さだ。ゲレロは希少な存在だが、大谷はユニコーン(唯一無二)だ。比較に値しない」

 ゲレロは打率3割2分1厘、46本塁打でOPS(出塁率+長打率)が1・029だが、同誌によるとこの成績以上の選手は過去に35人いたという。

「大谷がやったことは過去に例がない。再び見られるとしたらまた大谷にしかない。1961年のロジャー・マリス(61本塁打)と、68年のボブ・ギブソン(防御率1・12)を組み合わせたようなもの」とした。

 また同誌は「MVPは最近2か月で最もホットな選手ではなく、その年で最も価値のある選手に授与されるもの」と定義。大谷の背番号17に敬意を表し、MVPに値する説得力のある理由として現時点での成績をもとに17項目紹介した。そのいくつかはこうだ。

「大谷は打者としての打席数と投手としての対戦打者数の合計で1087。ベーブ・ルースが二刀流として活躍した18年は1042で、19年は1033だった」「20回以上先発登板した投手の歴代最多本塁打数は9本だったが、大谷は44本」「投手と打者でオールスター戦に選出された選手は大谷が初めて」「奪三振率10・6で勝率80%(先発22回以上)は史上8人目」「44本塁打、23盗塁はア・リーグでは大谷が史上4人目」

 大谷は19日に本拠地アナハイムでのアスレチックス戦に「2番・投手」で出場。8回を5安打2失点、10三振と好投するも勝敗は付かず、あと1勝としている。1918年のベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業達成はお預けとなったが可能性は十分、本塁打王も狙える。MVPレースに敵はいない。