【今週の秘蔵フォト】元祖シンガー・ソングライターとして、1970年代から日本ポップス界の頂点に立ち続けているユーミンこと松任谷由実は、来年で歌手デビュー50周年を迎える。76年にアレンジャーの松任谷正隆と結婚して現在の名義となったが、結婚前年の「荒井由実」だった時代の貴重なインタビューが、75年5月29日付本紙に掲載されている。

 当時、ユーミンは多摩美大絵画学科4年。6月20日にサードアルバムとなる名作「COBALT HOUR」発売を控えていた。中学生の時に聞いたロックバンド、プロコル・ハルムに影響を受けたと明かしつつ「(ミッションスクールで)教会音楽をやっていたので、ロックになっているから面白いなあと思ったんです。きれいな音楽が好きだからハードだったら拒否反応を起こしていたかもしれない」と語っている。

 当時はフォークソングが主流だったが「肌に合わないんですよね。私は都会的で絵に描いたようなものを目指している。心の中にドラマがある人がいい曲を書く。私はそれが音楽に向かっているということかな」と語る。当時21歳。すでに今と変わらない独自の音楽論が確立されていることには驚くしかない。

 代表曲でもある「ルージュの伝言」がヒット中だったが「いい意味での遊びなんです。昔あった『ザ・ヒット・パレード』のようなイメージで…。簡単なコード進行なんだけど、改めて聞くと新鮮なのね。コマーシャルで切り売りできる範囲では最高かなと思う。だけどこれが荒井由実のすべてと思われても困るんです」と冷静に話す。現在の姿勢と全くぶれていないから恐れ入る。

「前よりライター志向が強まったみたい。歌を悪くするのは嫌だから、自分を生かそうと思う。人によく聞こえるように色っぽく…と思いますね」記念イヤーを機に、今後も名作を作り続けてくれるに違いない。