津田寛治(56)が8日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われたフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本合作の主演映画「ONODA 一万夜を超えて」(アルチュール・アラリ監督)初日舞台あいさつに登壇。前日7日夜に東京や千葉県を中心に関東を直撃した、震度5強などの大きな地震の影響で「昨日、夜中とんでもない地震があり、ガーッと揺れた後、明日の舞台あいさつ、どうなるかと思った。(観客が)こんなに来ていただき、うれしい」と舞台あいさつの開催に不安を覚えたと語り、安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

映画は、太平洋戦争後も任務解除の命令がないままフィリピン・ルバング島で過ごし、約30年後の1974年(昭49)に51歳で日本に帰還、14年に91歳で亡くなった旧陸軍少尉の小野田寛郎さんの史実を元に、フランスの新鋭実力派監督のアルチュール・アラリ監督(40)が手掛けた。同監督は全編日本語での演出にこだわり、徹底したリサーチと演出力で、史実を元に小野田という1人の男が生き抜いた孤独と壮絶な日々を描いた、人間ドラマを作り上げた。

主人公の小野田さんの青年期を遠藤雄弥(34)が演じ、津田は成年期を演じた。津田は、カンボジアでの撮影を振り返り「2年前くらいに撮影し、骨身を削る思いでジャングルの中で戦った。虫、サソリとの戦い。思うことをガーッと言う、エキセントリックな監督のおっしゃることを具現化するのに取り組んだ」と振り返った。

司会から、もし俳優を選んでいなかったら、何をしていたかと質問されると「実は子供の頃から、俳優になりたかったわけじゃない。ずっと漫画を書いていた、オヤジの不渡りの紙の裏に書き、友だちに続きを読みたいと言われたら書いていた。人生でベスト5に入る思い出」と笑みを浮かべた。