「森友学園」の国有地売却問題を担当していた元財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さん(54=当時)が、佐川宣寿元国税庁長官(63)の指示で決裁文書改ざんを強制され自殺に追い込まれたとして、妻の雅子さん(50)が国と佐川氏に計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が13日、大阪地裁(中尾彰裁判長)で開かれた。

 裁判に先立ち、雅子さんが8月、改ざんの経緯を明らかにするため、財務省と近畿財務局に開示請求していた調査報告書の関連文書について、同省が11日付で不開示とする決定を出したことが分かった。

 同省は不開示の理由について「関連文書を公表すれば同種の調査に必要な協力を得られず、公正な人事に支障を及ぼす」と説明。近畿財務局も12日までに「請求のあった行政文書は作成しておらず、保有を確認できなかった」と不開示とした。

 報道陣の取材に応じた雅子さんは不開示について、「岸田首相が財務省に『丁寧に取り扱うように』とおっしゃっていたのに、その答えがこれなのかと、とても残念です」と落胆した。

 雅子さんは先日、岸田文雄首相に再調査を求める直筆の手紙を送付。11日には国会を訪れ、岸田首相に対する代表質問を傍聴するなど、俊夫さんの死の真相解明に向け、忙しく駆け回っている。

「岸田さんも最初は再調査に前向きでしたが、今のお立場が再調査はできないということなんだと思う。『再調査しよう』と言ってくれる味方を一人でも増やしていきたい。きっと自民党の中にもいらっしゃると思うし、この選挙の間にそういうことを言ってくれる方が一人でも出てくれたら。私の声を一人でも多くの人に伝えたくて活動してます」

 衆院が解散され、総選挙になだれ込む中で「内閣が替わったことで、昔のことのように済まされることに不安を感じる。裁判でも何も分かってないし、解決もしていない」と俊夫さんの死が人々の記憶から薄れてしまうことを危惧。「新しい内閣は古い内閣の間違いをちゃんと正してほしい。なかったことではなく、うみを出し切ってほしい。岸田さんはそれができると思うし、思い切ってやってほしい」と期待した。